入道雲が 好き | 明日は我が身の認知症

明日は我が身の認知症

認知症を抱えた方々の心に寄り添う為に、学びに終わりはなく日々更新しています。
支えてくれる家族の話、日々の出来事を、忘れない様に、書き綴ります。
人事ではない 「明日は我が身の認知症」 最後の最後まで 私は私でありたい!

パジャマ更衣が 終わり
居室ベットに 横になった 藤山さんが 
 
もう一度 居室の 扉を少し 開けて
顔を 出して 来た
 
離れた 場所で そちらに 目をやると
 
居室から 出て 背を向けて 歩く 
職員の 彼に 向かって 
 
ありがとう ありがとうございます
本当に ありがとうございます
と 
涙を流して 手を すり合わせて
何度も 何度も 頭を下げて 
拝んでいた
 
もう一度 彼は 居室に戻り
 
今日は 早く 寝ましょうね
 
と 優しく 声を かけていた
 
昼も 夜もなく
せんせーせんせーと
寂しさを 訴える 藤山さん
 
職員の心が 疲弊して 
つい 出てしまった言葉に
噛みつく 藤山さん
 
職員の心は
拘束される 8時間 又は
17時間の 業務としての 
忍耐の拘束
 
藤山さんの心は
帰れない 戻れない 
切り替え られない
訴えても 届かない
逃亡すら 出来ない 
先が 見えない拘束
 
常に 心が最悪の ひとりぼっちの
藤山さんの 気持ちは
藤山さんしか 解らない状況
 
職員は 対価を 受け取り 
野に 放たれ なんなら その後 
逃亡しようと 思ったら 可能だけど
 
今の 環境を 維持したまま
苦痛の壁を 乗り越える方法を
藤山さんも 職員も
 
見つけられていない
見つけられるんだろうか
 
けど あの 一瞬 
ホッとして 涙して 
感謝を 述べていた 
藤山さんの 心の熱が 
 
見ていた 私の心には
届いていた
 
ぼく 何にも してないんですけど
という 彼だったけど
 
天使の羽が 生えてるよ
と 思わず 声を かけてしまった
 
あの 後 よく 眠れただろうか・・・
 
台風は 怖い
 
でも 入道雲は 
綺麗だから 好き
すぐ 写真撮っちゃう
夏は 嫌い
 
でも 洗濯物が 
すぐ乾くから ものすごく 助かる
フカフカになる
早く 過ぎて欲しい 鬱陶しい夏
 
でも 
7月8月は 私達の誕生日
9月は 結婚記念日
ゆっくり 過ぎて 欲かったりもする
 
今日は 少し早く 出勤して
藤山さんと 入道雲 見よう!!!!!