巴金の中篇小説『憩園』を原作とする二本の香港映画のうちの一本です(もう一本は既に紹介した『故園春夢』)。本作は1959年制作、白黒作品、台詞は広東語、字幕は北京語となっています。原作小説『憩園』およびもう一つの改編映画『故園春夢』との相違点で特に気になった点は以下の通りです。

  1. 上映時間が1時間33分と短いためか、小説では登場する「私」は省かれ、その役割は映画『故園春夢』と同様に万昭華が担っています。

  2. 小説では曖昧にされていた姚国棟と外祖母の関係が、この映画では明確に描かれています。具体的には、娘婿ということで外祖母から目をかけてもらい、グループ会社の責任者を任されているという設定でした。

  3. 原作小説や『故園春夢』と異なり、万昭華は淑やかさよりも、思ったことを率直に述べる「独立した女性」として描かれていました。

  4. 最も驚いたのは、映画の最後で小虎が水難事故に遭った際、継母の万昭華に救われ、その後は継母の言うことをよく聞く「よい子」へと変化していた点です。

最初の香港映画の5年後に香港で再度映画化された背景には、最初の『人倫』の出来に満足できず、夏衍に脚本を依頼して改めて『故園春夢』を制作しようとした人がいたのではないかと思いました。作品としては映画『故園春夢』の方が原作により忠実で個人的に印象も良かったです。

 

三つの作品はいずれも独立した「人格」を持つ映画ですが、比較してみると多くの興味深い差異が浮かび上がってきました。こういう比較も面白いものですね。

 

(BAIDU百科からお借りしました)