韓国で『アンナ・カレーニナ』を観ました。一路さんや瀬奈さんの主演で翻訳上演されたブロードウェイ版とは別のロシアで初演されたミュージカル。韓国では7年ぶりの再演で初演の好評を聞いていたので、とても楽しみにしていた公演でした。が…。


原作は勿論、トルストイのアンナ・カレーニナ。厳格な年配の政治家を夫に持つ若きアンナが年下の将校ヴロンスキーと恋に堕ちて、子供も家庭も全てを捨てて、破滅へ向かう壮大な悲劇。共感できない不倫の話をどこまで共感させて貰えるか期待大で臨みました。


ロシアから招聘の演出家による舞台はロシア作品らしく本格的なクラシックバレエやオペラを織り込んで芸術的でした。巨大スクリーンと可動式の四つのスクリーンを駆使した映像も美しく迫力がありました。厳冬下の凍結した池で楽しむ市民を描写した場面は本物のスケート選手を起用しているそうで見事なアイスダンスも堪能できました。音楽も重厚で「大作感」に満ちた作風には魅了されました。


今回も韓国俳優陣の強い喉と高い身体能力にも惹き付けられたのですが、どうしても引っかかったのが主人公2人のキャスティングでした。いずれもファーストキャストなのに私には残念な配役でした。


まず、健康的な体躯と甘く危険なマスクで女性達を虜にするヴロンスキーがどれほど魅力的か固唾を飲んで待っていたのですが、いつまで経っても現れず、代わりに口数が多いお腹の出た中年軍人が目立ってました。違和感を抱いたまま物語は進みました。


そしてアンナ役のオクジュヒョンさんの登場。圧倒的な歌唱力と存在感で舞台を支配する姿はさすがでしたが、20代の常識と愛の狭間で揺れる若い女性というアンナ像とは距離があり、舞台上の誰より迫力と貫禄があり、ちょっと違うという思いが頭にもたげました。


そして、アンナと先述の中年軍人が服を脱いで抱擁を初めた事で、このオジさんがヴロンスキーと確信して呆然としました。見た目の年齢は2人はお似合いで歌も揃って申し分ないのですが、若さ故の衝動より壮年期の不倫という印象が強く物語に入り込めずでした。


今回の配役

ヴロンスキー(ユン・ヒョンリョルさん)1982年生まれ→  43歳

アンナ(オク・ジュヒョンさん) 1980年生まれ → 45歳


原作 

ヴロンスキー 25歳ぐらい

アンナ 28歳ぐらい


キャストボードの写真はいつの写真なんだろう?


本来なら、切なさに胸を締め付けられるはずのラストも共感できず、いい歳をして何をやってるんだと自業自得に思えて戸惑いました。トリプルキャスト公演なので配役が違えば印象も変わったと思います。期待が大きかった分、残念な思いも大きかったです。


これまで何度も心を掴まれてきたオク・ジュヒョンさんの舞台で、こんな感想を抱いたのは初めてでした。演出や楽曲の素晴らしさを堪能できたのは収穫でした。次は若々しい配役で再見したいと思いました。




↓向かって左から二人目と三人目