[東京 26日 ロイター] 三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>の宮田孝一社長は、ロイターとのインタビューで、今後の経済対策について、財政出動や金融緩和策などとともに、将来のプライマリーバランスなども見据えた全体のパッケージを示す必要があると語った。
また、日本銀行が前回の金融政策決定会合で追加緩和を決めたことや、来年1月の会合で事実上の物価目標である「物価安定の目途(めど)」を見直す姿勢を示したことについて、「政府と日銀がタッグを組んでいるという印象を与えた」と述べ、「(日銀が)政府側からの投げ掛けに対して真正面から受けて止めていることは評価したい」と語った。
インタビューの詳細は以下の通り。
――日銀が次回の金融政策決定会合で「物価安定の目途」を見直す姿勢を見せた。どう評価するか
「今回、政府と日銀がタッグを組んでというか、シンクロしているという印象を与えていることに意味がある。今の相場を見ていると、株式市場は経済対策を織り込みに行っている。為替市場は、自民党政権になって為替に対する関心や本気度に加えて、金融政策とのリンケージがきっちり取られるのではないかという期待感が織り込まれている。そういう意味では、新政権からの投げ掛けに対して、日銀が真正面から受け止めていると思う。ここは非常に評価したい」
――米国や欧州の金融政策と比較してどうなのか。
「世界中で金融緩和競争になっている。FRB(米連邦準備理事会)は今度は失業率に力点を置き始めた。ECB(欧州中央銀行)は国債を無制限に買いますということになっている。日本も景気回復に向けて全力を挙げるというメッセージと受け止めたい。ただ、(自民党の安倍晋三総裁が要請している)2%のインフレ目標は、到達するのはなかなか難しいとは考えている。メッセージ性は高く評価するが、なかなか1%にも届かない中で2%を掲げても、実際にインフレ率が急に上がってくるとは思えない。共に手を携えてやるんだという意味合いと受け止めた」
――安倍総裁は、日銀に国債を無制限に買わせたいのではないか。
「そうは思わない。1%を2%に引き上げる効果は何かというと、時間軸が伸びることだ。ただ、実際には伸びない。イールドカーブの形状が変わったわけでもない。メッセージとしての意味合いだと思う。しっかり経済対策をやって景気を活性化させる。具体的な経済対策を打つので一致させてほしいという意味での2%という意味ではないか。無制限に買えと言っても、無制限で買うことのリスクがある」
――銀行としてどのように受け止めているか。
「マーケットが信じることができる全体のパッケージが重要だ。景気対策で本当に景気が浮揚しないといけない。景気が浮揚してくれば税収も増える。単純に国債を増発して、それを日銀がいくらでも買うからというのは、かなり危険なストーリーになってしまう。目先の経済対策が必要だとして、補正予算のバックアップは国債でもいい。しかし、将来的には、プライマリーバランスをしっかりとして、財政にも目配りするという姿がしっかり出てくるかどうかが大事だ。こうした全体のパッケージは、政府の中枢が確信を持って語ってくれないと、マーケットの信認は得ることができない。足元の話と将来の話をセットにして、納得させるパワーは政府にしかない。こうした大きな枠組みの中に日銀という部品があり、たとえば、国債の買い切りを増やすというのであれば、全体の整合性は保たれるだろう」
――来年の景気見通しはどうか。
「米国の住宅市場は活性化してきている。ベースでみると米国景気は上向いており、それに円安が加われば、その組み合わせは日本の製造業が輸出を通して元気に、という姿だ。もう1つは、震災の復興需要の出方の息が長くなっている。これも景気の下支え要因となる。消費税は駆け込み消費が出てくるだろう。過去の例では1%成長できる。そこに真水で5兆円ぐらい経済刺激策が出ると、さらに1%押し上げる。今の株式市場がそういうイメージを織り込み始めており、先行きを当てている可能性が高いと思っている。そういうタイミングで国債の増発による景気刺激策で日本経済を浮揚させるストーリーは、十分成立すると思っている」
――物価が上昇すれば、金利も上昇する。銀行の金利リスクは大丈夫なのか。
「物価目標2%に引きずられるというよりは、実際の景気の体温や株式市場が好感していることに素直に反応すると思う。いくら足元が低金利だと言っても、株が上がると、さすがに10年物国債の金利も上がってきている。これは自然な反応だ。銀行の本業も元気になるので、それとの組み合わせで銀行経営は考えなければならない。これからはかばかしく金利が上がっていくとは考えてはいないが、金利低下トレンドが終わった可能性はある。市場部門は、ETF(上場投資信託)とか株の先物などのポジションを持っている。為替のディーリングもある。債券で大きく稼ぐことは期待していないが、他の手段でどれぐらい埋め合わせてくれるかというステージになると思う」
(ロイターニュース 布施太郎 浦中大我 編集:山川薫)
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