私のように接客をなりわいとしている人間は、様々な方と遭遇する機会がある。
交わす言葉の内容は限られているけど、仕事の範疇を超えてこの人はどんな人生を歩んで来たのだろう、、と興味を持ってしまう方がたまにいる。
そしてかなり怪しげなお客様も。。
今日の気になるお客様は・・・
黒いビニールジャンパーに黒いニット帽とマスク。
そしてこれまた黒っぽいリュックサックを持ったお一人様。
黒ずくめが怪しいというわけでは無く、問題はその滞在時間。。
正午に私が出勤する前からいたらしいのでもうかれこれ三時間は居ることになる。
雑誌を読む事も無くスマホをいじることもあまりせずただぼうっとしたり居眠りしたりしている。
時間調整にしては長すぎる、暇つぶしにしたって雑誌くらい読めばいいのに。。
結局六時間は居ただろうか、狭い椅子に半日はキツいだろう。
そして一時間に一回は行くトイレ、これがまた長い。
よもやよからぬ取引の電話でもしているのかも。
私の妄想が止まらない。
「店長ぉ~、あの人ヘンですよ~。黒いリュックに刃物でも忍ばせて無いですかね~。」
ビビりな私にとっては気になって仕方がない。
飲食代金は3000エンくらい、踏み倒して逃走されたりして。いやそれどころかお会計の時レジ前で刃物を出されたら。
いやそんなまさか、、でもこのご時世だし。。
職を無くし、帰る所もなく追い詰められ自暴自棄になって、暴挙におよぶ。
”長野の繁華街の喫茶店、強盗に襲われ・・・”なんて新聞沙汰になるかも。
「騒ぐな、金を出せ!」なんてナイフを突きつけてきたら。。どうしよう。
「お、落ち着いてください。ウチの店だって苦しいんです。みなさんそうですよ。
今ならまだ間に合います。と、時を戻そう・・・。」
「うるせえぇ!おめぇおちょくってんのか!」
「ひえぇ、、ごめんなさぁい。」
妄想が爆走中。
結局そのお客様は1日近く滞在し、おとなしくお会計を済ませて帰られた。
あ~よかった、助かった。
私だけバタバタしていた日が終わった。
1日の終わりは蓮花のキャンドルに癒やされる。。