透明水彩画。

 

 

 

 

 

独身時代に働いていた会社の飲み会で、大失敗をした事がある。

 

酒がらみの失敗なんてありすぎて、いちいち数えていたらキリが無いけど。。

大分昔の事でも、どうしても忘れられない出来事もあったりする。

 

事件はいくつかの課合同の宴会に参加した時の事だった。

私の両隣には他の課のオジサン二人が座った。

右には仕事のつながりでよく知っている人、左はたまに見かける程度のオジサン。

私は当然、よく知っている右のオジサンと会話が弾む。

彼の娘さんや、お孫さんの話という他愛も無い内容だ。

ふと左隣に視線を移すと、普段からあまり話もしていないオジサンが所在なげに

ちびちびビールを飲んでいる。

 

おっと、、いけない。

彼ともまんべんなく交流をしなくては。

でも何と言って引き込もうか。

話の流れもあるし、まあ家族の話題が当たり障りが無いのかな、と思った。、が、、

私としては気を回したつもりだったが、その話題がイケなかった。

 

「え~っと、、こちらのかたは、何人お孫さんいらっしゃるんですか?」

と、左のオジサンに話しかけた瞬間、その場の空気が凍りついた。

右のオジサンの表情が引きつり、話しかけた左のオジサンはうつむいて黙り込んでしまった。

 

「え・・えっ。私何かマズイ事言ったの?」、とその反応に訳も解らずにいたら、右のオジサンが

そ~っと、「そいつ、独り者なんだよ。」と私に告げてきた。

うわぁああ~~っ!やってもうた。

何という失礼な事を私は言ってしまったのか!

いくら右のオジサンと同じ年代に見えたとしても、家族構成まで同じとは限らない。

私の安直な思い込みが一人の純真なオジサンを傷つけてしまったのだ。

ああ、、私はバカだ。

彼はきっと、”こんな小娘に、オレは何人も孫がいるジジイにみえたのか、、、。”

、とふかく、深く、ふかーく傷ついたに違いない。

 

その時以来、私は人を見かけで判断しないように注意をしている。

が、生来の思い込みの強さと妄想癖が災いして、その後も何度か似たような失敗をしている。

 

すみません。。ほんとうに悪気はないんです。

 

 

 

 

 

 

 

 
 
私はきっとホステスにはなれません。