私の本業は絵を描くことだ。(・・と自分では思っている。)

が、それを仕事と呼ぶにはあまりに収入が微量だ。(腕は微妙だ)

それで、週の半分は喫茶店で働いている。

 

昔から喫茶店で働くことに憧れていた。

 

ゆったりとコーヒーを煎れる。室内に広がる芳ばしい香り。

予め温めておいたお洒落なカップに、その深い色の液体を注ぐ。

耳に心地よい音楽が流れ、至福の時間がゆっくりと過ぎてゆく。

 

二階に上がると、そこは小さなギャラリーになっている。

季節ごとに入れ替える、気に入った絵画。

ソファーに体を預け、読みかけの詩集を開く。

 

そんな素敵な空間を提供出来たら、どんなに毎日が充実するだろう...。

 

しかし現実はそんな理想どおりにはいかない。

今勤めているお店は、デパートのテナントに入っていて、イベントがあると超忙しくなる。

60席ほどの広さを、3,4人のスタッフで回していく。

 

お客様を迎え水を出し、オーダーを取り、ドリンクを作り、料理を運ぶ。

手が空けば洗い物をし、調理補助もする。

客が帰れば食器を片付け、テーブルを拭き、最後はお掃除、ゴミ出し・・・

やることは山ほどある。

立て続けにお客が入って来ようものなら現場はまるで戦場のようになる。

優雅という言葉とはほど遠い。、、が、これが仕事だ。

体を使い、接客に気を遣い、終わればヘトヘト・・・。

しかし働いたぞ感が残り、その日の夜のビアが旨い。

 

いつかかなえたい、ギャラリー喫茶で働く夢。

キツくても、今やっている事はきっと役に立つはず。そう信じて続けている。