加納石人の書

 

*火曜日、木曜日、土曜日に更新*

 

 

おくのほそ道

第15回

 

奥州路(白河ー平泉)

 

 

浅香

 

 

 

 

 
 
等窮が宅を出て五里計、檜皮の宿を離れあさか山有。

路より近し。

此あたり沼多し。

かつみ刈比もやヽ近うなれば、

いづれの花をかつみとは云ぞと、

人々に尋ね侍れども、更知人なし。

沼を尋、人にとひ、かつみ〱と尋ねありきて、

日は山の端にかヽりぬ。

二本松より右にきれて、黒塚の岩屋一見し、

福島に宿る。



【現代語訳】

等窮の家を出て五里ばかり、

檜皮の宿を離れるとすぐ浅香山がある。

路からすぐ近い。

このあたりは沼が多い。

かつみを刈る季節も次第に近くなったから、

「どの花をかつみと言うのですか」と人々に尋ねるけれど、

一向に知る人はない。

浅香沼のほとりを尋ね探し、

人にも問い、かつみ、かつみと尋ね歩いて

日は山の端に傾いた。

二本松から右に折れて、黒塚の鬼の岩屋を一見し、

福島に宿を取った。
 
 
※『奥の細道 現代語訳・鑑賞』 山本健吉(飯塚書店)より引用させて頂きました。
 
 
☆彡
 
『あさかの沼の花かつみ』
芭蕉は探し求めますが、見つかりませんでした。。。
 
~で、、、コレは何だろう???
 
古今集に
 『みちのくのあさかの沼の花かつみかつ見る人に恋ひや渡らん』   
 という、読人知らずの恋の歌があります。
 
*陸奥のあさかの沼に咲いているという花かつみ。
その「かつみ」という言葉のように、
ちょっと見ただけの貴方を私はいつまでも来い慕い続けるのでしょうか*
 
芭蕉の時代でも古典であったであろう古今集。
その中で歌われた花を探す・・・ロマンです(*´▽`*)
地元の人も知らない、幻のような花。。。
 
その後に、
謡曲「安達原」で知られる鬼婆がいたという黒塚の岩屋を見に行ったとは・・・
 
恋に歌われた花かつみと、鬼婆。。。
振れ幅が大きいですねぇびっくり
 
さて、次の目的地は?
お楽しみに(^o^)丿