先週、紅葉に出かけた帰り、いつも洋服を購入するお店に立ち寄る。

 

優待セールに先立ってめぼしいものをチェックし取り置きしてもらうためだ。

 

担当者のスタッフ君が言う。

「いつも日曜日にご来店いただくことが多いようですが、

来週は土曜日のご来店はご無理ですか?

私事なんですが、来週の日曜日は、お休みをいただいておりまして」。

 

クマオはすかさず答える。

「土曜日、大丈夫ですよ」。

 

え?

来週土曜日、大丈夫なんだ。

 

もう土曜日に女とはデートしなくなっているクマオ。

新しい女ともその後の約束はないようだ。

 

それはそれで嬉しいことなんだが。

 

いや、しかし・・・。

土曜日と言えば、例の「別の人」との約束がある私。

 

クマオはそんな私の予定などおかまいなしだ。

そもそも私に「りこちゃん、土曜日大丈夫?」と確認すらしないではないか。

 

どうしよう・・・。

一瞬迷う私。

それでも、次の瞬間に私の心は決まる。

「別の人」とのデートはキャンセルしよう。

 

そう思っていると、

「りこちゃん、このバッグ、優待セールの対象になってるで」。

クマオはおもむろにバッグを取り、私に手渡す。

 

「りこちゃん、これ欲しがってたやつやん」。

 

確かにそうだが、それは値段がちちょっと高い。

 

「うん・・・」。

手渡されて私はそのバッグを持ってみる。

 

オリーブ色のファーが施されているそのバッグ。

やっぱりすごく可愛いが、さすがに贅沢だなと気後れしていると、

後押しするようにクマオが言う。

 

「りこちゃん、この前買ったコートに合わせて持つと

 可愛いで」。

 

クマオは買ってくれるのだ。

 

 

その日のうちに「別の人」に連絡した。

「土曜日、急用ができました。

 できれば金曜日の夜に変更できませんか?」

「金曜の夜は、家内がいるので無理なんです」。

 

よし、これでいい。

 

クマオに振り回されている?

クマオに買収されている?

 

いや、違う。

それも含めて私は私の思うままに生きているのだと

思うことにする。