今月は3連休が二度ある。
これまでなら、クマオはまず、女のサロンのシフトに合わせ、
その残った日を私と過ごようにしていた。
だから、決して私からは、「連休どうするの?」とは聞けず、
「連休、会える日あったりする?」と控えめに聞くようにしていた。
クマオも、「うん・・・また連絡するよ」と、返事を持ち越し、まず女との予定を
優先しようとしていた。
それが、この夏、クマオと、北海道に行ってから、その辺りの私の気持ちに
少し変化があった。
私は、私で、クマオにどんどん要求をすればいいのだと思えるようになったのだ。
調整するのは、クマオだ。私とより、女と会うことを優先したいなら、すればいい。
そんな気持ちを持つことができるようになる。
3連休に、大阪でフェスがある。
私が好きなバンドの出演日は、14日の土曜日になっていた。
土曜日は、クマオと女のデート日だ。
無理だなと思いはしたが、一応クマオに伝えておく。
「りこちゃん、コヤソニ行きたいん?」
数日後、改めて、クマオが尋ねてきた。
「う~ん・・・いや、いいよ。
私が行きたいのは土曜日だし。
クマオさんのデートの邪魔してまでは別に行きたいとは思わない」。
「土曜日のに行きたいの?」
「yonige,土曜日出演予定となってたから」
「そうか・・・」。
クマオが躊躇しているのがよくわかった。
私は、明るく言った。
「今回はいい。その代り、次にライブがあったらいっしょに行ってね」。
クマオははっきり答えなかった。
あからさまに、私より女を優先しにくくなっているようだ。
私も、それきりその話題を出さなかった。もう流れたつもりでいた。
ちょうど1週間前の日曜日、迎えに来てくれたクマオの車に乗ると、
yonigeの曲がかかっている。
信号待ちで止まり、クマオが後部座席に手を伸ばしたかと思うと、
フェスのチケットが出てくる。
「え!行けるの!!!」
「クマオさん、せっかくの土曜日やのに?」
クマオは笑っている。
「うん。大丈夫」。
心の中がスカ~ッとした。
フェスに行けるのももちろんだが、クマオが女とのデートより私の願いを
優先してくれたことが何より嬉しくてしかたがない。
女のシフトを確認しようと、サロンの予約欄を見た
3連休も通常通り、土曜日だけが丸一日休みとなっている。
クマオとのデートのために、稼ぎ時の土曜日でも、必ず休みを取っている女。
その貴重な一日を、私がフェスで奪いとったことになる。
クマオは女に何て言うのだろう。
また仕事が入ったとでも言うのかな。