月曜日の夜。
クマオなりに考えてくれたのか、いつもより早くやって来た。
ボロネーゼや他にもおかずを何品か作っていたが、
何せ寝ていない私は、もうフラフラだった。 当然食欲もない。
9時ごろ、クマオが言う。
「りこちゃん、もう寝な。オレも睡眠不足やから今日は早く寝るよ」。
そう言えば、「添い寝」。
北海道から帰ってきてからは一度もしてもらっていない。
「クマオさん、添い寝してほしい」。
私は思い切って甘えてみた。
「うん。わかった」。
クマオはにっこり笑う。
私のベッドで、私はクマオにしがみついて横になった。
このまま寝てしまうのはもったいない。
「クマオさん、何かお話して。仕事の話とか」。
私はそうせがむ。
クマオは、何やらむずかしい話をし出した。
2人同じベッドで、身体をぴったりくっつけ、お互い薄暗い天井を見ながらの会話。
こんなの何年ぶりだろう。
ずっと昔、身体を重ねた後、余韻を楽しんで、よくこんなふうに話をしてもらった。
心も身体も満たされた後のその時間は、とろけたように、一気に親密になる。
クマオも普段はあまり話さない仕事の内容や、夢について教えてくれたり、
愚痴をこぼす時もあった。
そんな二人だけの時間を、ただの添い寝だけでも、6、7年ぶりに持った気がした。
やはり、身体の関係があるって素敵なことなんだな。
そんなことを思いながら、結局私は途中で寝落ちしてしまった。
ふと覚醒しそうになった時、隣でクマオのいびきが聞こえる。
クマオも寝てる! 私は嬉しくなってそのまま寝続ける。
どれぐらい時間が経ったのだろう。 クマオが動く気配がした。
あ、帰っていくんだな。 気が付いたが、私はそのまま寝たふりを続ける。
「りこ、愛してる。大好きやで」。
クマオがそう言っているのが聞こえた。