犬の散歩仲間の一人の40代男性。

 

時々食事に誘われる。

40代男性(過去記事)

 

ゆっくりお酒を飲んで、穏やかに話すその彼だが、最近変わってきた。

 

ラインや電話の頻度が増えている。

 

「今週末空いていますか」

「夜がだめならランチはどうですか」

「そうめんいりますか」

「りこさんの指輪のサイズ教えてください」。

 

こんな調子で一日に何度も送ってくる。

 

さすがに指輪のサイズの時は、こう返信した。

「何で、○○さんにそんなこと教えなきゃいけないのでしょうか」。

 

クマオからのラインを心待ちにしている私にとっては、舌打ちしたくなるほど

 

うざくてたまらない。私はだんだん距離を置くようにした。

 

ところが、たまたま一人でいた金曜日の夜。 チャイムがなる。玄関に彼が立っていた。

 

迷ったが、ドアを開けた。「これ、りこさんにあげようと思って」。

 

そこには、何故かわからないがピンクの胡蝶蘭とワイン。

 

「いっしょに飲みませんか」。

ワインを差し出してそういう彼。

 

面と向かって言われると断れなかった。

 

たわいもない会話をして 何とかその場を切り抜けよう。早く帰ってもらいたい。

 

ところがワインを1本空けた頃、今度はポケットから小さな箱を出してきた。

 

一目見て、アクセサリーの類だとわかるそのプレゼント。

 

しかもブランド品だ。こんなものもらえない。

 

丁寧に辞退すると、「遅くなったけど誕生日プレゼントなんです。受け取ってください」。

 

しばらく押し問答がつづいたが、しんどくなった私は、「とりあえずお預りします」と

 

受け取った。中身はシルバーのブレスレット。気が重くなった。

 

家に上がらせた私が悪いのだ。

 

それからも、彼はなかなか帰る気配を見せない。

 

何度か、「そろそろいいですか」と帰るように促したが、「あとちょっとだけ」と、とどまる。

 

こんな人だったのか。 失敗した。悔やんでも悔やみきれない。

 

と、いきなり彼が襲ってきた。

 

「やめてください!」。

自分でも驚くほど、毅然と拒否したその態度に相手はひるんだ。

 

「ごめんなさい」。

そう言って彼は帰って行った。

 

 

その日を境に、私はますます距離をおいたが、反対に相手はどんどんエスカレートしてくる。

 

そして水曜日。その夜イライラしていた私に、何度もラインや電話の着信音。

 

無視して寝てしまおう。部屋の灯を消して真っ暗にすると、何かの気配を感じたのか

 

犬が吠えだした。

 

もしかしたら、家の前に来た?

 

私は身動きせずにじっとしていた。 その間もジー、ジーとスマホが鳴っている。

 

スマホの光でさえ、外に漏れるのではないかと思うと、おちおち触れなかった。

 

私はスマホの電源を落とし、そのあたりに放り投げて眠った。

 

翌朝、何故かスマホがみつからない。おそらくバッテリーもなくなっている。

 

結局クマオが電話をかけてくる時間になっても、見つけられず、

 

当然電話にも出られなかったのだ。