オマケのように会えた水曜日に続いて、クマオは昨日もやって来た。
が、昨夜、クマオはあまりリラックスしていなかった。
食べる量も飲む量も、前日の半分以下だ。
「あまりお腹空いてないの?」
私は何度かそう尋ねた。
「いや、おいしいよ。いっぱい食べてるよ」。
私はピンときた。この後、女と約束している。
女を抱くために、食事や飲酒の量を調整している。
私はそんなことも知らず、クマオのためにいっぱいおかずを作っている。
その大半は残された。
「ごめんな・・・」。クマオは席を立ちながらそう言う。
クマオがそう謝ることで、私の心に、改めて惨めさが芽生えた。
それを察したのか、クマオは私を強くハグして言う。
「りこちゃん、いつもありがとう。りこちゃん、ずっと元気でおってな」。
「うん!だいじょ~ぶ!」。
私が大袈裟に言うと、クマオはホッとしたように笑って、またハグして帰って行く。
いつもよりずっと早い時間だ。
そうか、そうだったのか。今日は、昨日水曜日の振り替えなんだ。
昨日オマケのようにクマオはやって来た。
それは私を優先したからではない。あくまでも女の都合だったんだ。
(わかっていたが)。
結局、クマオと女は、こんなふうにお互いに微調整しながら、二人の関係を続けている。
結婚こそしないけれど、真面目に付き合っているんだなと改めて思い知る。
こんなこといつまで続くんだろう。
その女。 昨日の穴埋めのために、今日仕事で遅くなっても、疲れていても
(相当疲れているはずだが)、
クマオのために時間を作っている。
クマオに不自由させないために身体を張って、他の女に持っていかれないように
最大限できることをしている。
この女はやはり手強い。自信たっぷりに見えながらも、きっちり押さえるところは押さえて、
男のクマオの手綱を握っているのだ。