2月の3連休。土曜日はクマオは仕事が入っていると言っていたが、日曜と月曜は私と
会えると言う。女は仕事柄、連休は休みを取りづらいのか、案外クマオは私と過ごす。
土曜日深夜にクマオからのライン。
「りこちゃん、明日12時頃お迎えに行くよー」。前夜に連絡をくれるなんて珍しい。
日曜日。いつも通りのクマオと私の休日。街に出て、春物を物色したり、お茶したり。
夜は、デリを買い込んで私の家で飲みながらの食事。
「りこちゃん、明日朝早く起きれる?」
「うん。どうして?」
「大塚美術館に行こう」
「え~!連れて行ってくれるの?やったー!」。
四国の徳島県にある大塚国際美術館。海を渡ってのちょっとしたドライブになる。
1月2日、女が帰省中に、私が行きたかったところだ。その日はクマオが風邪をひいて
その予定は流れた。その時私は本当に残念で、クマオに嫌味と皮肉を並べたてた。
それをクマオは覚えていたようだった。
嫌味と皮肉(過去記事です)
朝早くから、出かけることができるということは、その日は女が朝早くからの仕事なのか、
それとも何か別の用事があるのか。
どちらにしても、私は何かが変わってきたのを感じた。これまでは女と会えないから私と
過ごすという感じだったクマオ。もちろんそれはそうなのだが、以前よりもっと積極的に私と
会おうとしてくれている。そんな気配がほんの少しだが感じられる。
私に「別の人」ができて焦っている?それとも女との関係にそれほど新鮮味がなくなった?
いやいや、そんな風に考えるのはやめよう。また後で落とされる。
その日眠りにつく前、私は目を閉じて思いを整える。
クマオと女のことなど私には関係ない。私は私とクマオとのことだけを考えよう。
そして2月11日。クマオとその美術館に来たのは、ちょうど2年ぶりで5度目だった。