1月中は、定期的にクマオに会えていた。
クマオは女といっしょに行く場所と、私と行く場所をきっぱりと分けているようだった。
クマオが女とどんな所に遊びに行っているのか、気にはなったが、私を連れていく所には
女は行っていない。何となくではあるがそう確信できてきたのがこの頃だ。
そう思えてくると、私も以前のように変な遠慮をしなくなっていた。
「彼女」という第一優先順位の立場ではなくなった私が、クマオと何かを楽しんだり、共有した
いと願ってはいけないと自分でブレーキをかけていた。そういうことは、クマオは女としたいと
思っているはずで、私とは買い物と食事だけ。きっとそう決めているんだろうと思っていた。
でも、もうそんな遠慮はしない。私は以前のように堂々とクマオの横に寄り添ってやる。
そう思うことにした私は、クマオを映画に誘った。
「クマオさん、ボヘミアンラプソディーもう観ちゃったかな?」
私はクマオにダメ元でライン。
「見てないよー」
「じゃあ、次の日曜日に観ようよ」
「うん、わかったー」。
前日の土曜の夕方。クマオが女と過ごしている時間帯。
以前なら遠慮してそんな時間帯にラインなどほとんどしなかった。
でももうそんなことも気にしない。私は映画の上映スケジュールをラインで送信した。
きっとクマオも以前のように無視することはないと何故かそう確信できた。
しばらくするとクマオから返信。
「ありがとう。時間はまた連絡するよ」
「うん。無理しなくていいよ」。
とりあえずこの一言は付け加える。
またしばらくすると、クマオからライン。
きっと女と予定の調整をしたのか。
「明日電車で行こうか?チケットは予約しとくよ。ついでに○○(ワインバー)も予約しとくよ」
「うわぁい!ありがとう、クマオさん」。
思い通りに事が運ぶ。