あれほどクマオとどうしたら会わないでいれるだろうかと考えていたくせに、
私はすぐに譲歩してしまった。その頃の私は、まるでジェットコースターのようだった。
日々、一刻一刻と考えが変わる。
でも結局、自分の中の核の部分で、クマオを欲しているという事実。それだけは不動だった。
その不動な部分に素直に従う。今後、クマオと距離を置くことはあっても、クマオと絶縁する
ことだけはしない。そう決めたのはこの時だった。不思議なことにそう決めてから少し楽になっ
たような気がした。気がしただけだ。それ以降も辛くて心が引き裂かれるような気持ちに何度
も陥った。しかし、それ以降今に至るまで、まだまだ何度かのいさかいはあったものの、
それまでのように、絶縁という方向ではなく、どうやって折り合っていくのかということが、
争点になるようになった。
そうなると、自然に、以前ほどクマオと女が別れることを望まなくなった。
考えてみると、いつかこんな日が来ると、クマオに新しい若い女が現れると、ずっと恐れてい
たことが、今は現実に起き、それでもなお、クマオは私と繋がろうとしてくれている。
もう何も恐れることはないのだ。
できれば、女はただのセフレだと言ってほしい。私の願いはそこだけになった。
どうせ、しょうもない女だろう。そう思ってもいた。
しかし、クマオと女の結びつきは、思った以上に深く、恋人同士として上手くいっていた。
その点で私の辛い気持ちは変わらなかったが、少しずつ少しずつ暗くて長いトンネルも
終わりに向かって行くのを感じた。
あれほどの酷暑の夏も終わろうとしていた。秋めいてきた頃、サプライズがあった。