一人取り残された。
とにかく悲しかった。一人でビールを飲む。
しばらくするとクマオからラインが来た。
「りこの言う通りだよ。そりゃそう思うよな。僕は自分が楽しみにしていたものを
自分で台無しにしてしまった。僕は本当に幼稚な人間だ。
送れなかったのが心残りだよ。帰りはくれぐれも気をつけて。
あと、家の階段も」。
何度も読み返した。クマオがなぜ不機嫌になったのかを探る。
ただ料理が気に入らなかったわけではなさそうだ。
やっぱり女のことが気になり始めたんだ。
私はやりきれなくなった。
「彼女とお幸せに。それしか出てこない、今のククマオさん見てると」。
そう返信すると、私は店を出た。
街はまだまだ宵の口だ。賑やかで騒がしい。私だけがひとりぼっちな気がした。
本当ならほろ酔い気分で、クマオと腕を組み、この通りを歩いているはずだ。
何でこんなことになってしまうのだろう。
クマオと私は一緒に過ごしたいとお互い思うからこそ、こんな風に会っているのだ。
クマオだって、わざわざあんなお店を予約してくれたんだ。
本当は楽しく過ごしたかったはずだ。
なのに、どうしてこういがみ合ってしまうのだろうか。
女だ。クマオの女のせいだ。
クマオの女の存在はどこまでも私を苦しめる。