「ユシギ」とは「マンサク科イスノキ」の事を普通には指します。

漢字では「柞」と書いて「イスノキ」と読み。
沖縄や奄美群島南部方面(南奄美地方ともされている与論島や沖永良部島方面)では「ユシギ」と呼ばれており、いわゆる奄美地方である「徳之島以北」では通常「ユス」と呼ばれています。

屋久島以北では「イスノキ」や「ユスノキ」などと呼ばれ、特段に締まった芯材を「スヌケ」などとも呼び三線材としてもこの「スヌケ材」を「ユシの実」と呼び、この「ユシの実」が混ざるだけでも「ユシの実入り三線」として高値で売買されています。

然しながら「ユシの実だけの三線」は沖縄でも奄美でも極めて高いです。

音色も良いため人気です。

「ユシの実入り」でもかなり音色が良い三線が出る率が高いために人気があります。

「イスノキ」の分布は台湾付近から中華大陸沿岸地域から朝鮮半島と日本列島の紀伊半島付近までと範囲は広く分布しており、近畿圏でも「ヒョンの木」などと呼ばれています。(葉っぱが寄生虫の影響で球状になったヒョン玉が出来るやつです)

「ユシギの実」や「ユシギの実入り」の三線はすごく良いですよ。

ただ「国産材」で作られているため、良い材から作られた三線は高いです。

一点気をつけなければいけないのは「30年くらい前の三線屋が売った練習用などの廉価なユシギ三線」です。

「黒檀類の白太材」や「鉄木(アイアンウッド類)」や「ローズウッド類の当時廉価だった質の下がる材」をも「ユシギ」だとして売られていた事があるからです。中には「イェークの木(モッコクの木、奄美ではハユス、ハーユス)」などの材でも「ユシギ」だとして売られていたりしていました。これは「樹種としてのユシギ」と言う解釈ではなく、「良し木」つまり「(三線にするには)まぁまぁ良い木」くらいの意味で売られていたようです・・・

つまり「樹種が説明出来ないユシギの三線」も存在する訳です。

それは昔の話。
けっこう前から、舞台映えさせるために「そこそこの実入りなどのユシギ」に黒で下塗りを施して「スンチー(透明)塗り」をした「見た目は黒檀三線」なども「ファッション的な意味」で今でも時々作られているものを目にします。

これは「実用的な三線」と言う意味でなんですが、「コスパは上々」かと思います。

私は「三線は必ずしも黒檀である必要は無い」そう考えているからです。

実用的な意味でです。

「紅木紫檀」や「本紫檀」や「本花林」の三線があってもいいし、「島桑」や「寒緋桜」の三線や「モクマオウ」の三線だってあって良いと思うのです。

「音」も「見た目」もそうですが、「持ったその人が気に入るか」そこに楽器選びの楽しさがあるとおもうのです。

三線が欲しい方は「三線を製作している三線店さん」に行ってみて下さい。

きっと良い「出逢い」があると思います。

三線に興味を持たれる方が多くなる夏休みですので、もし三線に興味を持たれたなら。

「製作している三線店」さんに行ってみて下さい。

私は「ユシギ(イスノキ)」から入ることをおすすめします。

良い出逢いがある事を祈っております。