声変わりをしたのはいつのことやら、遥かな昔だ。心変わりをし

たのもいつのことやら。恋猫を見るたびに、聞くたびに若かりし

昔のことを思い出す。今思えばずいぶんと無茶をしたものだ。

恥ずかしい限りだ。

多分猫はいくらわめいても身をよじらせても恥じることをしないだ

ろう。時期が過ぎれば猫は恋狂いのことなどすっかり忘れてしま

うが、人はそうはいかない。