ずっと以前に孫たちと遊んだプラスチック製の橇。使用され

なくなって地下の物置に入れられたまま眠っている。もうそろそろ

はやりの断捨離に加えなければならない。昔の木製の橇であれば

懐かしさもひとしお、取っておく手もあるのだが、プラスチックの橇は

それほどのこともないだろう。

木製の橇といえば、映画『市民ケーン』(1941年、米国、オーソン

・ウェルズ監督)に出てくる橇、ローズ・バッド(バラの蕾)と書かれ

た古い橇だろう。財産・名誉・権力すべてを手に入れた男が唯一

手にすることができなかった「愛」の象徴だ。