これも今年読んだ小説。
「ハゲタカ」はNHKドラマをレンタルDVDで見て、面白かったので小説も読んでみようと購入したのだ。
その続編。

作品としてはすごい面白かった。
企業買収の手法に関して、そこまでしっかり企業の内情などを調査できるのかなあとも思ったが、実際は情報収集も大切なのだろうし、なんらかコネクションを使いながら内部のことを探るのだろう。

今回の小説では主人公「鷲津」が買収目前で失敗する。これが意外な伏線ともなるのだが、いままで確実に買収を成功させていた主人公が少し弱気になっていたり、今までにない強引な買収に乗り出したりしてキャラクターを変えたやり方を見せるのが人間味を感じた。

しかし、いま読むとアメリカの手法をほめたたえる作品にかなり違和感を感じる。
弱い企業など淘汰されればいい。国が救済などする必要などない。と鷲津が言うのだ。
アメリカ式経営などと。
しかしアメリカがやらかした「サブプライム問題」などをよく知ると、この言葉はかなり空虚に感じる。
サブプライム問題の解決にアメリカ国家がどんな介入をしたか。
サブプライムローンを含んだ金融派生商品である債権を銀行などから買い入れ銀行の負債を引き受けた。
これは日本のバブル崩壊のとき、日本の銀行へ国が関与したのと同じであり、潰れかけの銀行へ手を差し伸べたことを批判していたアメリカも自分のことになれば結局は同じことをするしかなかったのだ。

弱者を切り捨てたり、買収して余計なものを捨てたりして経営をスリム化することが正しいという理論はある面ではわかる。
しかしそれはあくまでも株主の視点だけだろう。
経営とは長期視点で無駄をいかに生かしながら、その無駄をお金のなる木に変えれるように努力することだと思う。
それができる環境にすることこそ国の役割で、だからこそデフレ環境を早期に脱却して企業の体力を回復させなければならない。
中小零細企業がふつうに生き延びて、そういう環境でこそ出てくる技術を大切にしないと日本らしさが消え失せてしまいそうで少し怖い。そう思った。

今も、企業が大規模なリストラを発表している。
NECもソニーもパナソニックも人切りを行っている。
こんな環境で結婚も出産も無理だろう。

などと小説を読んで考えるわたしは変わっているのだろうか?