20年くらい前、
まだ駅前の穴八幡さんの近くに住んでいた頃。
半分野良のちびまるの体調が悪くなりました。
とても痛がるので見ていられなくて
でも近くの先生からは
強い薬だからもう注射はできないよと言われました。
寒い夜で
アパートの外階段に座って鳴くちびまるを抱っこしていました。
近所の人が毛布とか飲み物とか持ってきてくれました。
真夜中を過ぎたころ
ちびまるの痛がる声が小さくなってきて
寝息に変わりました。
わたしはああ助かったんだと
裸足のまま穴八幡さんへお礼に行きました。
その後わたしはアパートへ帰り、なぜだかいまでもわかりませんが
アパートの門の両側へ手づかみで大きな盛り塩をしたのです。
部屋に戻って布団に横になると
すごい音がしてきました。
トタン板やドラム缶を力任せに叩いたりひっかいたりしているようです。
ものすごい騒音で、それも金属音なので
ただごとでないと
わたしは半身を起こしたままかたまってしまいました。
でも、近所の人は誰も起きた様子がないのです。
窓を開けたり、人が起きた様子がまったくないのです。
夜の闇の中で
力任せに気が狂ったようにトタン板を叩く音が響き
それはリヤカーにのせて移動している様で
やがて
そのガッチャーン、ドシャンという音がうちのアパートへ向かってきていることに気付きました。
当時そのアパートは角を曲がったどん詰まりにあったのですが
そのひどい音の塊が
とうとうその角をを曲がったことがわかりました。
どんどん近づいて大きくなる音にわたしは半身を起こしたまま動けませんでした。
ここへ、この部屋へ来る!
ところがその音の塊は門を入って来れないのです。
入れないということに余計苛立って
門の前で金属をめちゃくちゃに叩いています。
それがしばらく続きましたが
おもしろいことに、それは諦めて戻っていったのです。
入れなかったということにハラを立てて
音がだんだん遠くなっていき
角を曲がったと同時に
向かいのおうちの木戸が開き
地面をホウキで掃く音がして
いつもの朝に戻ったのです。
あれはなんだったのでしょうか。
よろしくない存在だということはあの音から明確ですが
生物の身体機能を死に至らせる類のものなのか
それとも
わたしの不安や恐怖があのような音になってわたしにやってきたのか
なぜあの門を入れなかったのか
塩って効くんだろうか
わたしが効くと思ったから効いたのか
不思議なままです。
ただ
この体験から
この世界は良きものも悪しきものもみんなある
透明なフィルムのようなものがごっちゃにある
ならば
良きものになるべくチューニングしたいな
好きなこと良きことを選べる自分でいたいなと思います。






