人間関係だけにかかわらず、人生を左右
するくらい強烈な力があるものが、
「感情」です。
その感情とな何か?についての話しです。
ふたりの修道士が森の中をさまよっている
と、流れの激しい川の岸になまめかしい娼婦
がたっていた。二人は純潔を守るという誓い
を立てていたので、若い方の修道士は女には
目もくれずにさっさと川を渡った。
ところが、娼婦がひとりでは無事に渡れそうに
ないのを見てとった年上の修道士は、女を抱
き上げて川に入り、向こう岸に着くと、そっと下
してやった。
女はありがとうと微笑み、二人の修道士はまた
歩きだした。
年下の修道士は黙っていたが、先ほどの出来
事を何度も思いかえすうちに、腹が立ってきた。
よくもあんなことができたものだ、と年下の修道
士は心の中でいまいましじげにつぶやいた。
私たちの立てた純潔の誓いなど、どうでもいい
というのか。
考えれば考えるほど腹が立った。
頭の中を飛びかう声がどんどん大きくなる。
まったく、私があんなことをしたら、修道会から
追い出されていただろう。
考えるだけでおぞましい。
修道士としての経験は私の方が浅いかもしれ
ないが、善悪の区別はつく。
年上の修道士が先ほどの行いに、やましさぐら
い感じてもよさそうだと様子をうかがってみたが、
その気配はなく、相変わらず穏やかで落ち着い
ていた。
とうとう年下の修道士は黙っていられなくなった。
「よくあんなことができますね」
と彼は詰め寄った。
「娼婦なんて、目にするだけでも汚らわしいのに
なぜ抱き上げて運んでやったりしたのです?純潔
の誓いを忘れたのですか」
年上の修道士は驚きの表情を浮かべたが、やがて
目に深い慈悲をたたえて、にっこりと笑った。
「私はもうあの女を抱きかかえてはいませんよ。
あなたもそうでしょう」
という話しです。
話しでは、「感情」の強さがよくわかります。
とくにマイナスでありネガティブな感情は
その「出来事」があったときから、頭の中で
繰返えされ、何度も何度も自分に言い聞か
せます。
そうすると、その「出来事」が起こったとき
よりも、はるかに強く大きな「負の感情」が
できあがる。
もうその「出来事」は終わっているのに、
その出来事で感じたよりも、はるかに強く
大きな感情を相手にぶつけてしまう。
これが「感情」です。
感情は、私たちを幸せにも不幸にもする力
をもっています。
その感情と向き合い、感情をコントロール
していくことで、人生をコントロールできる
ようになります。