2022年12月26日

 

 私たちの憩いの場として、日常的に親しまれている「スターバックス」。

美味しいコーヒーの香りと味と共に、緑と白で描かれた長い髪の女性のロゴも

馴染みがありますね。

 

 さて今日は、そのロゴに着目します。

 

 まず、スターバックスは、アメリカの港町シアトルで、1971年英語教師、

作家、歴史教師の3人の若者が創業しました。そして50年余、今や世界的に

トップクラスのコーヒーチェーンです。

 

 そんな彼らが、自分たちの会社にふさわしいロゴ探しの旅に出て、ノルウェー

の歴史書の中に、16世紀に木版画として描かれた、微笑む人魚を見つけました。

 

 それは、2つの尾を持つ海の精「セイレーン」でした。神秘的でおとぎ話の

ような存在感に、彼らはすぐに魅了され、「コーヒーで多くの人々を魅了し

たい」という想いを込めて、ロゴにしました。

 

 実は、当初のロゴは、もう少し写実的でした。その後、2回の変更があり、

今日の姿は、3代目です。

 

 面白いのは、正式ではありませんが、海外では、後ろ姿の人魚が描かれ、

腰の辺に錨のマークが見られます。

 

 描かれたのは、全て、ギリシャ神話に登場する「セイレーン」を象徴した

姿なのです。

 

 セイレーンは、上半身は女性で、下半身は人魚の姿をしています。

その歌声は美しく、誘惑的で、船乗りを惑わせ、その声に魅せられた船は、

暗礁に乗り上げ、難破してしまうという物語です。

 

 元々、セイレーンは、吟遊詩人ホメロスが残した英雄「オディッセウス」

の物語の中に出てくる話です。トロイの木馬を作り、トロイの戦争に勝利

したオディッセウスは、愛する妻の下へ帰る旅に出ます。

 

 しかしその旅は、神々の陰謀により、様々な試練を受け、10年を超える

困難な旅が続きました。

その中の一つが、セイレーンとの出会いです。

 

 オディッセウスは、船乗りに耳を塞がせ、自分を船のマストに縛りつけ

させて、誘惑されても行けないようにして乗り切ったとされています。

 

 ところで、「スターバックス」という名前は、ハーマン・メルビルの

「白鯨」に出てくるコーヒー好きの航海士「スターバック」が由来と

言われていますが、更に、南太平洋に多くの船員がセイレーンによって

殺されたという逸話が残る「スターバックス」という島があったとも

言われます。

 

 因みに、このセイレーンは、サイレンの語源になったとも言われます。

 

 ここで、「オディッセウス」や「セイレーン」って、どこかでも見たな

という人も、結構いるかなと思います。

 そうです。聖闘士星矢やバズドラ等馴染みのあるゲームのキャラクターと

して登場しています。

 日本のゲームの中には、ギリシャ神話のヒーローや妖怪なども多く取り

入れられています。

  面白いですね!

 

 さて、スタバのロゴに戻ります。

 

 正面を向いた女性の人魚が、冠をかぶり、両手で二つに分かれた尾を

抱えている姿になっています。

良く見ると、このロゴは左右対称ではなく、目と眉毛の部分が微妙に

異なっています。完璧なシンメトリーではなく、親近感を生み出す

効果があるようです。

 

 皆さん、今度スタバに行ったら、もう一度ロゴをよく眺めてみるのも

楽しいかと思います。