2022年4月17日

 

  桜のシーズンが過ぎ、今はいろいろな色や形のチューリップの美しい姿が見ら

ます。そこで今回は、大変身近にあるチューリップについて採り上げます。

 

 チューリップと言えば、まず「オランダ」が連想されますね。確かに、オラン

はチューリップの生産で世界一を誇り、玄関口のスキポール国際空港に降り

立つと、アムステルダムに向かう高速道路から、カラフルなチューリップ畑の光

の帯が目に入ります。

 

 

 更に、キューケンホフという広大な公園では、何百という種類に亘り、

約 6百万本ものチューリップが咲き誇っています。

 

 

 そんなオランダに残る「チューリップ物語」があります。

 

 「昔々、オランダの小さな村に、一人の美しい少女が暮らしていました。

その少女に、3人の騎士が恋をして、一人は家宝の「王冠」を、一人は「剣」

を、更に一人は「黄金」を差し出し、プロポーズしました。

 

 その少女は、その申し出に感謝しながらも、皆を思いやるばかりに、一人だけ

選ぶことが出来ず、悩んだ末に、花の女神である「フローラ」にお願いして、

自身姿をチューリップの花に変えてもらいました。

 

 3人の騎士たちは、悲しみながらも、チューリップを育てることになり、

そのことから、チューリップの花は「王冠」を、葉っぱは「剣」を、そして球根

「黄金」を、更に、つぼみは「愛される女性の純潔」を表すようになったと

れています。

 

 このようなチューリップは、また多くの花言葉をもっています。

 

 まず、チューリップの総合的な花言葉は、上の物語から「思いやり」とのこ

とです。

 

 続いて、色別にも花言葉が付いています。代表的な赤色のチューリップは、

「真実の愛」「愛の告白」を示し、ピンク色は「愛の芽生え」「誠実な愛」、

黄色は「正直」「望みのない恋」「名声」の意味があり、また白色は「失わ

れた愛」、紫色は「不滅の愛」等と幅広い花言葉になっています。

 

 更に、チューリップは、本数によっても意味の変わる花言葉をもっています。

 1本では「あなたが運命の人」、3本は「あなたを愛しています」、4本は

「あなたを一生愛します」、9本では「いつまでも一緒にいてください」と

いった具合です。

 

 さて、チューリップは、ユリ科・チューリップ属に分類され、オランダでは

16世紀終わり頃から人気がでて、栽培が広がりました。

 

 しかしながら、チューリップの原産地は、オランダではなく、実はトルコです。

 

 歴史を1,500年ほど遡った6世紀の終わり頃、トルコの壁画にチューリップが

描かれていた記録が残っており、現在でもイスタンブールの有名なイスラム

寺院「ブルーモスク」には、50種類以上のチューリップの壁画が色鮮やかに

残っています。

 

 偶像崇拝が禁止されていたオスマントルコのイスラム教の世界では、チュー

ップの図柄が愛されていたとのことで、現在チューリップは、オランダの

国花であるとともに、トルコの国花にもなっているのです。

 

 トルコで欠かせない飲み物、チャイ(トルコ風紅茶)のチャイグラスもチュー

リップの花の形からとられたといわれます。

 

 そんなチューリップは、十字軍がヨーロッパに持ち帰ったといわれています。

そしてオランダにも伝わっていきました。チューリップという言葉は、トルコ語

で、頭に巻くターバン、あるいはスカーフから来ているとの説があります。

 

 そして、1620年代になり、貴族や金持ちの間で急速にチューリップ人気が

高まり、球根の値段が高騰していきました。尋常な水準の価格ではなく、それでも

人々は、我先に購入しようと熱狂しました。借金をして、参加した人たちも続出

しました。

 

 特に「黒いチューリップ」が希少価値として珍重され、球根1個につき牛1頭

段が付いたり、遂には家1軒の価格になったりしていきました。この異常な

値動きが世界で最初のバブルといわれています。

 

  

 

   更に、まだ収穫されていない球根を売買する権利が、取引の対象となり、

これは、世界での先物取引の発祥といわれます。

 

 しかし、熱狂的なブームは永遠に続くものではなく、ある日突然終わりがやって

きました。価格は、転げ落ちるように大暴落し、破産する人が大量にでました。

‥‥

 

 このように、チューリップに纏わる色々な話がありますが、実際のチューリッ

品種改良も進み、今日では、その品種は5,000種を超えるといわれ、世界中

で愛されています。

 

 アムステルダムの郊外アールスミアにある花市場で、早朝に取引されたチュー

プやバラの花は、その日のうちに、ヨーロッパに空輸されていきます。

 

 そして、あまり知られていませんが、日本は世界で第2位の生産国なのです。

 

 多くの公園などで、様々な名前の美しいチューリップを楽しみながら、古えの

人達の世界に、思いを馳せたりしてみたいと思います。

 

 

 今日も、読んでいただき、ありがとうございました。

皆さんも、興味のあるテーマがありましたら教えてください

 

以 上