2021年7月19日
先日の激しい雷雨の後に、大きな「虹」が見られました。雨上がりに空を見上げて
眺めた人も多いかと思います。
子供のころから、虹、あるいはレインボーは私たちの暮らしの中で、美しいもの、
楽しいもの等のイメージをもって親しまれてきました。
実際に自分でみている虹だけでなく、写真、イラスト、絵本や歌や映画にも、虹が
モチーフになっているものは、生活の中で溢れています。
改めて、虹について考えてみました。
まず、虹の正体です。「雨の後に、空中には多くの水滴が出来ていますが、その中
を太陽光が通るときに、水滴の粒がプリズムの役割を果たし、屈折、反射の作用で、
光が分解されて複数色のスペクトルになって見えるものです。」
ここまでは、常識として誰でも知っています。
では、なぜ、「虹」という漢字なのか、虫という字が付くのでしょうか?
時代を遡って、古代中国では、龍になる大蛇が天に登り、天空を貫くときに空に作
られたとされています。虫偏は、本来昆虫を表した字ではなく、蛇の形を描いたもの
だそうです。更に、右側の「工」の字は、貫くという意味からきています。
英語の「rainbow」は、読んで字の如しで、雨の弓の意味です。フランス語では、
「arc-enciel」と書きますが、直訳すると空の弓で似たような表現になっています。
さて、虹が見えるのは、いつも太陽と反対の方角と決まっています。太陽の光が、
空中の水分に当たって反射するために、そういう位置関係になります。
次に、虹の色ですが、「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫」の 7色と言われます。
順番も決まっていて、光の最も波長の短い「紫」が一番地面に近い側にあり、順に
色の波長が長くなり、最も波長の長い「赤」が、帯の上側、即ち、弓上の外側に見ら
れます。
この虹は、主虹(一次)とも言われますが、たまに、主虹の外側に、もう一つ弱い
虹が見えることがあります。
これは、副虹(二次)とも言われるそうですが、特色は、赤色から紫までの光の
順番が、主虹と逆になっているということです。これは、主虹が水滴の中で、1回の
光の反射であるのに対し、副虹では、2回の反射が起きていることに起因するとのこ
とです。
面白いですね。
更に、「夜の虹」と言われる虹があります。「月虹(げっこう)」とも呼ばれ、
その名の通り、月の光によって掛かる虹です。月灯りのため、色彩が淡く、白っ
ぽい虹となり、「白虹(はっこう)」とも言われます。
この月虹は、ハワイでは良く見られるといい、ムーンボウ、あるいはナイトレイン
ボーと呼ばれたりします。月虹を目撃した人は幸せが訪れるという言い伝えもあり
ます。
また、「彩雲(さいうん)」という現象を知っていますか。
これは、日中、太陽の近くを通りかかった雲が、その中に含まれる水分の反射で、
緑や赤に彩られる現象で、その部分は雲が虹色に変化したように見えます。
最近の朝ドラ「おかえりモネ」の中でも、気象現象として登場しましたが、私も
ずっと以前、神津島で泳ぎながら見たことがあります。
ところで、私たちは、「虹は七色」ということが常識になっていますが、実は世界
の常識ではありません。
日本や韓国、オランダでは、7色という認識ですが、イギリスやアメリカでは、
6色(7色-藍)、フランスやドイツでは、5色(7色-藍、紫)等、様々です。
7色と決めたのは、りんごで有名な物理学者の「ニュートン」ということですが、
色々と文化の違いがあるようですね。
色の受け止め方には、違いがみられますが、総じて世界における「虹」の認識は、
自然現象ではあっても、人々の心には、「夢」や「希望」をもたらすもの、あるい
は、「幸せの象徴」という認識は、共通しているようです。
早く、コロナ禍という嵐が過ぎ去って、地球に「幸せの虹」が掛かることを待望
する日々です。
以 上