熱い。


脳から出される信号は

目頭だけじゃなく

私の全身を巡る

全ての臓器を

震える幸せで、熱さで、

包んでくれている。



1985年。

「衝撃」という言葉だけでは

語れないほどの

「人生を変えるショック」を与えてくれた

あのBandと出会って26年…。


憧れ続け

追い続け

時には懐に入り

時には距離を置き


そうやって、紡ぎ続けて来た時間。

ターニングポイントとなるLive。


息を切らして会場に入ると

真っ先に、「今日のBandの音を一度も聞いた事のない友人達」が

目に入った。


「仕事が押したら無理かも」

そんな風に事前に断りを入れてくれていた友人も

おおよそ今日の様なRockを聴くタイプでは無い友人も

新幹線で移動しなければならない距離の友人も…。


私は、笑顔だった。

でも、「聴きに来る理由」が何も無い彼等が

そこに居てくれるありがたさに、

本当は泣きそうだった。


歩を進めると

ここ数年、縁があって

何かと一緒に居てくれる友人達が目に入った。


彼女達も、今日のLiveを聴く理由は、何も無い人達だった。


そして、

遠く約16年の月日を経て

飛行機に乗り、Liveを見に来てくれた友人が居た。



挨拶に回る。

その段階で

今日この空間を一緒に味わってくれる事を

選択してくれた友人達への想いが溢れて

目頭が熱い状態が続く。


Live終わってから配布するCDを取りに行く。

一息ついてコーラで喉を潤す。


「その時間」を向かえるまでに

やるべき事が沢山あった。


それでも。


待って、待って…。

15年待ち続けた“その瞬間”までは

まるで息ができぬまま海の中を歩いている様な

そんな感覚に似た時間が流れ続けた。


前のBandの演奏が終わる。

わざわざ駆けつけてくれた友人達に声を掛け

Stage前へと移動する。


セッティングに出てくるメンバー達。

TAMURA君が音を調整するのに

ニールヤングのRockin' In The Free World を弾いている。



2009年、

彼等は一度Liveをやってくれていた。

けれどそれは「GAUCH!」という“過去へのオマージュ”そして“ノスタルジー”だった。



今回は、意味合いが全く違う。

THIRTY THREE AND ONE THIRD

この“Bandの為”に創られた楽曲を引っさげての

「新しい門出」のLiveなのだ。



「新曲」

FAN稼業を長年やっていて

テンションが上がる事の3本指に入る言葉。


正式発表された物を基準とすれば

彼等の“新曲”を“生”で聴くのは

16年振りの事だった。


Live当日まで

ほぼ休みなく働いてきた疲労なのか

ずっと続いていた

緊張と興奮と期待感で

いきなり足がつっている自分。

リオちゃん、ほぐしてくれてありがと…(ノ_-。)



そんな私とは対照的に

思いの外リラックスしているメンバー。

顔を見合わせてサインを送る姿に

“長年”の“呼吸”が見え隠れする。


しょっぱなの曲は

初めて聴く曲だった。

【Thirty three】


Band、始めました。これからも、よろしく。


そんな声が聞こえた気がした。


大好きなあの“音達”が

髪の毛の先からつま先まで

私を包む。


息をつくまもなく次の楽曲が繰り出された。

【Rebirth】

-生まれ変わる-


このタイトルを見ただけで

泣けてしまったのは何故なんだろう…。


TAMURA君のGt.の疾走感は

止まる事ない。

ずっしりとBandを支えてくれるSENPAIのBass.

そして、“全体”を見据えながらのSABBAさんのDr.


そう、SABBAさんの、ドラム…。


このBlogを読んでくれて居る方々に

「現実的な出来事」を語る必要は無いと思う。



私が言葉にするのを許されるなら…。



SABBAさんは

物事を本質的に捉え

そして、いつも冷静に判断する

客観的な眼差しを持つ人。


今まで見てきたLiveは

常に「全体」を見て

「余裕」すら感じさせるドラミングで

でも常に熱くて。


そのSABBAさんが

とても楽しそうに。

でも、とても必死に

スティックを振り下ろしている。


私の大好きな

真っ直ぐ縦に突き抜けるようなスネアの音。

「楽曲を立てる」ドラミング。


「泣かないで楽しく笑ってLiveを見る」

そう決めていた私は

子供みたいにぴょんぴょん跳ねながら

笑顔でその勇姿を

己の瞳の奥に刻み込んでいた。

本当は、今にもこぼれそうな涙を

必死で抑えながら…。






何となくユルいMCも加わりながら

初めて聴く楽曲が演奏された。


【Ten years gone】


それはきっと

私の思い過ごしなのだと思う。


でも、楽曲のタイトルに

いちいち反応せずにはいられない…。



驚くような瞬発力で

3曲を駆け抜けた後。

今回のLiveの企画者でもある

エガワ君がStageに現れた。



「GAUCH!のカバーやります!」



この時、この曲が、演奏される。

その事実を、既に私は知っていた。



けれど。

覚悟していたけれど。

「笑って最後までLive見るんだ」って決意してたけど。



ズルいよ。

この曲。




イントロが流れた段階で

Live始まる前から

ずっと抑え続けて来た感情が

一気に溢れ出した。



【アカネ】(By GAUCH! feat.HIROSHI EGAWA)





目の前で繰り広げられる演奏と

あのPVが

代わる代わる

頭の中を巡る…。


ありがとう。

演奏してくれてありがとう。

エガワ君、歌ってくれてありがとう。


必死に、夢中で

一緒に歌う。


無邪気なパレードは続く

僕らのマイムも続く

全てが続いて行く

変わらない、終わらない…



TAROさんが書いた詞。

様々な想いを

止める術は無かった。



演奏が終わり、ギターを置こうとするエガワ君を

SABBAさんが呼び止めた。


「今日のStageに立たせてくれたエガワ君に感謝を込めて

エガワ君の曲をやります!」


「えっ!!!!???」


慌てるエガワ君。


「僕、歌える曲!!!???」

様子からしても、本人には全く知らされていなかった

「本物のサプライズ」である事は、容易に解った。



【Green】(By エガワヒロシ)



SABBAさん達がエガワ君のサポートをやっていた時代

よく演奏された楽曲。

当時、下北沢にエガワ君のLiveを見に行った風景が

頭を過ぎる…。



実はこのイベントの主催者でもあるエガワ君は

4つのBandの演奏のトリを務める。


会場に最後まで居れば

エガワ君の歌は必ず演奏される。


けれど、彼等は

自分達に「割り当てられた」時間を

エガワ君への感謝として

「エガワ君が主役」の曲を演奏してくれた。


それは勿論。

エガワ君への心からの感謝の意であったのは間違いない。

けれど、「あの頃」「エガワ君と」一緒に演ったあの時間を

Stageでもう一度振り返っていたのかもしれない…。


沢山の拍手に包まれて

Stageを後にするエガワ君。

後で解ったことだが

エガワ君にこのサプライズがバレないように

セットリストには「Green」ではなく別の曲名が書かれていたそうだ。



そう。

そういう彼等だから

16年という月日を

私は待てたのだと

改めて感じた瞬間。



「早いなぁ。最後の曲です!」


さっきまでは海の底を歩くような時間の流れだったのに

幸せの時間はいつだってあっという間だ…。



【Marrakech】



TAMURA君のカラーが前面に出ている(と、個人的に思っている)楽曲。

このイントロは

一度耳についたら

離れてくれないという

やっかいな癖を持っている。


足がつる、という異例の事態から幕を開けたLiveだったのに

気付いたら、ずっと飛び跳ねていた…。


リオちゃん、もう一度、ありがとう。


沢山の歓声と、拍手に包まれて終わったLive。

…あっという間に終わったLive。


けれど、その後

私には大切な仕事があった。



来場者に限定枚数で配る、無料CDの配布。


「今演奏したTHIRTY THREE AND ONE THIRD のCDを配ります!

限定30名です!

欲しい方、早く取りに来て下さぁぁぁぁい!!」



CDを取りに来てくれた方々

お一人、お一人の顔を見ながら手渡す。


その度に

感謝が溢れ出す…。



ありがとう。

聴きに来てくれてありがとう。

偶然居合わせてくれてありがとう。

彼等の音楽に興味を持ってくれてありがとう。

CD、受け取ってくれてありがとう。




渡しているそばから

泣けてくる…。




その涙の理由は

少し時間が経った今

私の中で明確になった。

“SABBA復活Live”という出来事だけでは無い事が…。



皆様、それぞれにお忙しい中。

時間を作って、お金を払って

この場に来てくれた

その尊い“行動”




もし、私が一人だけで

あのStageを見ていたら

あんなに楽しく

あんなに幸せな気持ちで見る事が出来たんだろうか?



違う。


一緒に聴いてくれる仲間が居てくれたから。


一緒に泣いて、笑ってくれる

あの、大切な、それは大切な仲間達が

傍で「その時間」を一緒に過ごしてくれたから。



他の誰でもない。

実は私こそが皆さんに一番支えて貰っていたんだ…。


そう気付いた瞬間。

また、全身が熱くなる。



こんな時、いつも思う。

どうして日本語には「ありがとう」の最上級が無いんだろう、って…。



ありがとう。

ありがとう。

ありがとう。



復帰してくれてありがとう。

楽しく演奏してくれてありがとう。

必死に演奏してくれてありがとう。

新しく始めてくれてありがとう。



そして…何より…。

「応援側」に居てくれた皆様。

一緒に居てくれてありがとう。




きっとあの夜

一番幸せだったのは

私だったに違いない。


都合がつかなくて

今回来る事が出来なかった人達の分まで

沢山、沢山

彼等の音楽の粒子を

体の中に、心の中に、入れてきたよ。



「感動」だとか「感激」だとか

そんな日本語が「小さく」思えた夜。



最初から最後まで

「感謝」で埋めつくされた夜。





この素晴らしい時間を与えてくれた

全てに感謝します。



本当に、ありがとう…。