ブログネタ:トイレになにか落としたことある? 参加中自分が落ちたことがある。
と言っても、今風の洋式トイレでの話ではない。
昔の、いわゆるポットン便所である。
夜中、お尻に異常な緊張感を感じた。
あまりに急いだため、電気が点くより先に便所に駆け込んでしまったのだ。
昔の電球は、点くのがとても遅く、しばらく便所の前で待っていなければならなかった。
幸い、金隠しに必死にしがみつき、全落は免れたものの、下半身はどっぷりと浸かってしまった。
同じような経験をした者は少なくなかったが、この手の事件が世間に知られることは、絶対になかった。
知られた途端、『うんこ』『くそ太郎』『べんじよコオロギ』『銀バエ』といったあだ名が、生涯付き纏うことが目に見えていたからだ。
彼らは、ひたすら沈黙を守り、やがて4~50年後に真相が明かされることになる。
ポットン便所より恐れられていたのが『肥溜』である。
『肥溜』のそばには、必ず河童が描かれた看板が立てられ、周囲に危険を知らせていた。子供たちは、本当に河童が出ると信じていたので、近付く者はなかった。
それでも、夏草が生い茂る季節などに、うっかり転落してしまう者達がいた。
彼らは、糞尿に塗れた身体を友人達に引き上げられ、川や井戸で洗われ、泣きながら家に帰るのである。
しかし、彼らを『うんこ』『くそ太郎』『べんじよコオロギ』『銀バエ』などと呼ぶ者はいない。
なぜなら、彼らは河童に引き込まれて『肥溜』に落ちてしまったからなのだ。
みんな河童の祟りを恐れ、口つぐんだのだ。
過ぎ去りし夏の思い出である。
さまざまな所で、河童伝説を耳にする。
未確認生物の評論家達が、河童の出没スポットを解説している。
だが、河童は本当は『肥溜』にいるのだということを、彼らはまだ知らないのだ。
