大切な方を亡くされた喪失感を乗り越えるあなたをサポート。ロスケアヒーラー佐々木澄子です。

 

 

今回はご高齢の独り暮らしの女性が、最愛の旦那様とのお別れを受け入れ、乗り越えられたお話をさせていただきます。

 

 

初めて訪問したのは2年前。

娘さんとは友達ですが

人生の大先輩なので

相談をしたり、されたりの仲です。

 

 

ここから先は娘さんと同じく

「おばあちゃん」と

呼ばせていただきます。

 

 

おばあちゃんは耳が遠く

補聴器もつけていません。

耳元で話す大きい声が

やっと聞こえる状態です。

 

 

なので

おばちゃんの家の電話は

電話として機能せず、

周囲に物がたくさん置かれ

受話器が外れていることも

しょっちゅうです。

 

 

そして腰も曲がり

膝痛で歩きが不安定なので

毎週娘さんや息子さん、

そしてお嫁さんが

買い物や料理をしては

届けているとのことでした。

 

 

娘さんによると

ほかにも理由があって

毎週おばあちゃんに会いに

行っているとのことでした。

 

 

その理由は初めて訪問した際、

よくわかりました。

それは、亡くなられた

旦那様のことを想い、

 

 

「じいちゃん、なんで

私を置いていった。

いつも俺がやってあげるから

お前は無理をするなって

言ってくれてたのに。

なんで、なんで、、、」と

泣いてばかりだったのです。

 

 

そして私に写真たての

旦那様を見せてくれました。

 

 

スーツ姿で全身が写っている

立派な旦那様の写真と

満面の笑みの顔写真。

とっても優しそうな旦那様です。

 

 

その写真たてを、寝る時も

ご飯を食べる時も出かける時も

片時も肌身離さず、

大事にしているのだそうです。

 

 

このような状態が2年も続いたので

娘さんは「可哀そう」を通り越して

「あきれている」と、苦笑いしていました。

 

 

ほかに原因があるのではと思い

娘さんに聞いたところ、

認知症や精神疾患などの

検査しをしたそうですが

異常はなかったそうです。

 

 

その日は、娘さんも一緒だったので

ご挨拶とお話を少し聞いて、

「また今度うかがわせて下さいね」と

泣いているおばあちゃんと

お約束をして帰りました。

 

 

それから数日後、また会いに行きました。

やはり旦那様のことを話しては

泣いてばかり。

話題を変えてみても

すべてが旦那様との想い出に

繋がってしまうのです。

 

 

その日もどうにか励まして、

次にうかがうお約束をして

帰ってきました。

そんな状態が半年以上も

続いたでしょうか。

 

 

そんなある日、

私の日常が一変する

出来事が起こりました。

それは、夫の突然死です。

 

 

当時、心にぽっかり

穴が空いたようになった私は

「もっと、つくしてあげたかった」と

後悔ばかりでした。

ですが泣いてばかりもいられず

仕事に復帰し忙しい日常に戻りました。

 

 

そんなある日、無性に

あの独り暮らしのおばあちゃんに

会いたくなったのです。

今の私だったら

おばあちゃんのお気持ちが

よくわかるような気がすると

思ったのです。

 

 

それと私自身、心の穴を

どうにか埋めたいという

気持ちもありました。

 

 

その日の午後は

おばあちゃんとの時間にしようと

ゆとりをもって出かけました。

 

 

おばあちゃんを訪ねると

「じいちゃんと横になってたよ」と

写真たてが枕にのせてありました。

 

 

それからゆっくり

写真たてを手に取って

愛しそうに見つめながら、

「とても悔しいんだ」と

胸の内をお話して下さいました。

 

 

私と重なる部分もあり

時折、涙をぐっとこらえながら

おばあちゃんのお話に耳を傾けました。

 

 

気がつくと2時間半も経っていて

おばちゃんはこの間ずっと

語り通しだったのですが、

後半は泣き止み、旦那様との想い出を

笑いながら話して下さる場面もありました。

 

 

そして、帰り際におばあちゃんが

「ありがとう。話をきいてくれてありがとうね」と

手を握って下さいました。

私は嬉しくて涙をぐっとこらえました。

 

 

なぜなら泣いたら、今度は私の方が

止まらなくなりそうだったからです。

もちろん、おばあちゃんには

3週間前に夫が他界したことは

話しませんでした。

それは、おばあちゃんには

笑顔を届けたかったからです。

 

 

おばあちゃんの旦那様への想いを

たっぷり聞かせていただいたおかげで、

私も、夫とのたくさんの

想い出があることに

気づかせていただきました。

そして、悲しみから脱出して

早く元気になりたいと思ったのでした。

 

 

それから数週間たった頃

またおばあちゃんに会いに行きました。

すると、驚いたことに

旦那様のお話は一切しなかったのです。

 

 

それどころか

「干し柿にしようと思ってね」と

柿の皮をむきながら、

デイサービスでの楽しい様子や

通院時のお医者様とのエピソードなど

いろいろとお話をしてくれました。

明らかに心の変化を感じました。

 

 

もしも、以前うかがった時、

おばあちゃんのお話を

自分ごとのように受け止め、

誠心誠意、耳を傾けたことが

心の変化に繋がったのであれば、

 

 

これが「傾聴する」ということなのかと

身に染みて感じたのでした。

 

 

これまでの私は、おばあちゃんの

お話を聞くことよりも

気持ちを前向きにしてあげたい、

何とか状況をよくしてあげたいと

ご家族様のことも含め、

考えてしまっていたのかもしれません。

 

 

なので、これまで大変な時代を

生き抜いてきたおばあちゃんには

無意識のうちに、「わかってもらえない」と

感じたのではないかと思います。

 

 

それからというもの、おばあちゃんは

娘さんや息子さん、それにお嫁さんにも

「ありがたいなぁ」と言えるようになり、

「みんなに支えてもらっている」ことに

感謝できるようになったと

娘さんよりご報告をいただきました。

本当に良かったです。

 

 

大切な方を亡くされると、

心の拠り所がなくなってしまいます。

そのような時は、その方のお心に寄り添い、

丁寧にただお話をお聞きすることが

その方の癒しになるのではないかと考えます。

 

 

それが傾聴というものならば

私はその傾聴を大切にしながら

あなたのお役に立ちたいと思うのです。

 

 

どうか一人で悩まないで下さいね。

 

 

あなたと共に

ロスケアヒーラー 佐々木澄子