気象系の青さんの素人妄想BL小説です
🍓 いちごのお話です 🍓
潤→智
side O
辺りはすっかり暗くなり
俺は、両手に荷物を抱えて
駆け足で目的地へ向かっていた
『……ハァハァ…ハァ…
…ハァ…もう…着いちゃった///』
大学進学と共に
一人暮らしを始めた潤くんは
見た目の派手さとは違い倹約家だ
男の一人暮らしには必要ないと
セキュリティは程々の……
寧ろ甘すぎる位で、
道路から敷地内に入れば
直接、玄関まで行ける
オープンスタイルのアパートだ……
潤くんの部屋は、
1階角部屋
『……よしッ…』
ピンポーーーン
…寝てるかな…
一応、スーパーに寄って
食料も買ってきたし…//
もう一度だけ……
コンコンッ
ピンポーーーンッ…
『……ハァ…///…出ない…かな…』
具合悪すぎて、
倒れてなければいいんだけど…
『…出直そう…かな//…』
少し待機しても
何の音沙汰もないので
無理に騒ぎ立てるのも悪いし…
今日のところは諦めて、
明日にでも出直すことにした
アパートの敷地を出て、
歩き出そうとした時…
[ねぇ〜全然ピンクじゃなくねぇ!?]
[えぇ〜そうかなぁ〜…
まぁでも、満月っていいよね〜]
すれ違った人達の
話し声が聞こえてきた…
『…そっか…ピンクムーンだっけ…』
Pink Moon 恋愛成熟
翔くんの言葉を思い出し
空を見上げれば
僕を照らしてくれる優しい存在が……
『まんまるお月様だね♪』
お願いごとって…
恋愛系のことじゃなくても叶うのかな
僕の…潤くんへの想いは
叶わなくてもいいから…//
それよりも…
潤くんの風邪を早く治してほしいな///
病気の時ってさ、
ひとりぼっちは心細いよね
僕じゃ…きっと、
潤くんには相応しくないだろうし…
潤くんを
大切に想ってくれてる誰かに、
側についててもらえてるといいな…
『…潤くん…
早く元気になって…//…』
熱出てるならキツいよね…
出来ることなら…代わってあげたい//
念の為…
建物の反対側を覗いて帰ろう
そこからなら…
リビング兼寝室のテラスがあるから…
灯りがついてないことを
直接確認して、出直そう……
建物の壁伝いに歩き、
後、数歩先にある角を曲がれば
角部屋の潤くんのテラスがある
そしてコーナーを曲がろうと
足を踏み込んだ瞬間…
「……大野…………すき…/////」
『…へ?/////』
まるで魔法のようだった__
進もうとしていた足は止まり
呼吸の仕方さえ、
忘れてしまうほど__
まさか
まさかそんなッ…///
風の悪戯…
…なんてことは…⁈///
…きっと…
きっと、そう__
ボクが都合のいいように
聴こえただけだよね…?///
ねぇ
ほんとぉ?
からだの奥底から湧き出てくる何かを
視界が次第にぼやけゆく瞳と…
頬を一方通行で通過していく
あたたかなもので感じた__
夜空をもう一度見上げ
まんまるお月様と向き合った
スーパーで買った食材で
パンパンに膨らんだバックを握りしめ
ゆっくり息を吐きだし…
願いを込めて…
めいいっぱい空気を吸い込んだ
僕に__
勇気をください///
瞬きを数回
僕の視界を邪魔するものを
瞳から追い出したら
夜空に浮かぶ
まんまるお月様へ
『行ってきます…ズズッ//』
きっと…
応援してくれるよね///
買い物バックを肩に掛け
地面から1m程離れた位置にある
直ぐ側のテラスの柱に手をかけた
『……潤くんッ///』
手指に力を込めて
足先で弱気な自分に別れを告げたら…
一気にテラスの柱に飛び乗った
柵を股越し、
荷物を足元へ置いたら…
コンッ //
潤くん///
コンコツンッ
潤くん、お願い__
僕に…
チャンスをちょうだい///
やっぱり、
僕じゃ……だめ?///
でも__
僕の背中を照らす存在へ
勇気を出すって約束をしたんだッ///
『……潤くん……僕ね…
…ずっと……ずっと好きだったのッ///』
シャーーーーーーッ
⁈
窓ガラスを挟んだその先に
僕の脳内で…
何度も叫び続けた存在が
カーテンを開けて出てきてくれた
いつもの僕で…
…笑顔で…///
「ぎぃやぁあッ//」
!?
窓の向こうで
飛び上がって驚く潤くん
体調不良で辛そうではあるものの
叫ぶ元気があるのだと思ったら…
嬉しさが込み上げてきて…///
ドンドンドンッ
『あぁ〜良かった♪
やっと気づいてくれた♡
潤くん!来ちゃった♪』
僕も口角上げて、
おまけに手なんか振ったりして///
いつも通りの自分で
ちゃんと潤くんに向き会えたんだ
取り敢えず、
一安心したら若干肌寒く感じてきた…
だからさ…潤くん…///
『…んふふ♪…開けてぇ〜///』
「…………/////」
…あれ?
おかしいなぁ…何で反応無いの?
_シャーー…ッ
『…ふぇえッ!?』
しッ…
閉められたぁ⁈
目の前で手まで振ってたのに…
拒否されたの〜!?
コンコンッ
『ちょっと潤くんッ!?
開けてッ!開けてよッ//』
ビックリさせちゃった?
拒否されるってやっぱりショック…
だけど、
ここまできて引き下がるもんかッ!!
絶対、潤くんのところへ
入れてもらうんだッ/////
コンコンコンッ…
『潤くんッ!!開けてッ!
寒いッ!寒いよぉ〜//…へッ…
…へッ…クシッ//……ズズッ……ゔぅ〜
ねぇ〜開けてよぉ〜///』
ただ、潤くんに会いたいの
会って元気なのか直接確認したいの
僕にも潤くんのこと、
一緒に心配させて欲しいの…///
何よりも…
寒いから
さっさと開けてよぉ〜//
呆然と立ち竦む、潤くんへ向かって…
必死になってお願いした
「…ッ……ああ〜もぉ〜///」
!?
開いたぁ〜♡
カラカラカラッ…
『もぉ〜潤くんッ///
何で直ぐに開けてくれないんだよぉ
夜はまだ冷えるんだぞッ!』
ふわぁ♡
漸く開けてもらい、
潤くんの香りがする部屋の中へ
入ることを許されたんだと思ったら
嬉しくてッ…嬉しくてッ/////
「……幻覚じゃ…ないの?」
『…んぁ?…幻覚?…何が?
それより、風邪大丈夫!?
…えと…熱は?』
まだ寝ぼけてるのかな?//
可愛いな///
よく分からないことを言ってる…
そうだ!!
本来の目的を忘れちゃダメ!
ちゃんと確かめないと…/////
焦る気持ちを抑えつつ
腕を伸ばして潤くんの額に触れた
ぴとッ♡
…えッ⁈
『熱いじゃん!?』
「つッ//…冷たッ///」
びっくりした表情を見せる潤くんは
まだまだ想像以上に高熱だった
僕は持ってきたバックを持って
食材を一気に冷蔵庫へ入れこんだ…
もう、この時には僕は看病モードに
スイッチが切り替わり
体温計でお熱を確認したり
水分補給や氷枕やら…
忙しなく動き回ってる間に、
いつの間にか潤くんは眠ってしまった
潤くんのおでこへ
冷やした濡れタオルを置いた
凄い汗だったから、
着替えもしてもらおうと
部屋着らしき服をベッド脇まで
持ってきたものの……
『……全然、起きてくれない…//』
どうしよう…
濡れたままで寝かせるの…
よくないよね…//…
着替えさせちゃっても…
…大丈夫…かな?/////
『潤くん…失礼しや〜す…/////』
ロンTの裾を肌に触れないように
少し浮かせて捲り上げけいけば…
程よい……いや///
普通の生活してたら生まれもしない
綺麗な筋肉美がどんどん露わになってゆく
『…ゔぅ/////……ハァ…』
少し首を捻り、直視は避け__
斜めの方角で横目で脱がしかけてゆく
まもなく胸元に差し掛かる
間際までやってきた…
そのタイミングで…
「…んっッ…」
『…へッ!?』
潤くんの鼻から抜ける声が
聞こえた瞬間…
ごろんッ♡
ふにぃ♡
「…んんッ……はぁああぁ…//…」
『…ふぃぃッ/////////』
ぎゃぁああ///
潤くん の ちくッ…
ちくぅ///
触ってしまったじゃないかぁ〜
『無理ぃ〜/////…ハァハァ…僕には…
絶対無理ぃぃぃ〜〜〜/////』
僕にはできないッ//
これ以上は踏み込めないよッ///
汗で濡れたままは可哀想だけど
早々に諦め…
残りの時間は…
何度もおでこのタオルを交換し、
潤くんの大きな手を握り…
早く元気になりますように…
…って祈り続け、
綺麗な寝顔を眺めながら……
気がついた時には…
僕も夢の中だった///
つづく__♡