気象系の赤×青さんの素人妄想小説です
※BL・18禁要素を含みます
Side S
広がる空を
雲が呑み込んでゆく
山の開けた場所から
こうして空を見てると
雲の間から
月の様子を伺うことができ
時間の経過の早さに…
戸惑いを隠せないでいた
「さとし……お前…寒くないか?」
目の前に存在しない者に
どこを見て話しかけたらいいのか分からず
そのまま月を見て…話しを続けた
「雅紀たち……お前の猫の姿見たって…
…怪我してたって…
俺が倒れてた後のデッカい岩…
…血…ついてたんだって……
俺…その位置、怪我してないんだけど//
お前//…昔から成長しないな…
人のことより…自分…大切にしろよ」
子どもの時
木の上で俺を助けて落ちた時も…さ…
あの後…
あの後…お前…どうなったんだ?
俺、何で忘れてるんだろ…?
小5位の記憶だろ?
普通に覚えてておかしくないのに…
「なぁ…怪我…大丈夫なのかよッ…//
心配かけんなよッ…」
猫に戻ったなら…
服が捨てられているのは分かる…
と言うか…俺に着せてくれたんだよな
怪我してるのに…//
でも…
「何で首輪が外れてるんだ?」
ポケットにしまい込んでいた
首輪を取り出し、手のひらに広げた
「お前、チョーカーも首輪も
…繋ぎ目…無かったよな?」
取り外す事…不可能だろ?
どうしてここにあるんだよ……
なぁ…
どこにいるんだ?
光が迎えに来たって
…どう言うこと?
千切れることなく綺麗なままの
首輪が落ちていたことといい…
さとしが言う…光の迎え…って事と
あのさとしを包み込んだ光といい…
これじゃあ…やっぱり…
「…消えた…」
…としか、考えようがないじゃんかよッ…
でもやっぱりそんなこと
…考えたくなくて
こうして山の中で
手掛かりを探しているんだけど…
まもなく…
月が明るさを増して
森が闇に包まれる
悔しいが…今日の捜索は終了
山を下り、婆ちゃん家に帰ることにした
バンッ //
車に戻りエンジンをかける
シートベルトをしてサイドミラーを確認
バックミラーを確認したところで…
つい3日程前まで…
後部座席に座ったさとしが
潤やニノとふざけて楽しそうに
乗ってる姿をここから見てたんだなぁ
…と、その光景を思い出した
「………はぁあああ〜…」
さとしとこの町にやってきた時は
助手席で運転の邪魔して…///
つい…誘いにのって
わざわざ車止めてまでキスしたよなぁ〜
「ッ…///ったくッ…アイツ///」
本当…自由気ままでやりたい放題
俺、普通だったら…
常識ないヤツ苦手なのに
「真っ直ぐ…だからな…アイツ///」
あの純粋な屈託のない笑顔を
好きになるのなんて…
…時間なんて関係ないんだ…
エンジン音だけが聞こえる車内が
とても静かで…
虚しい
バンッ //
婆ちゃん家に帰りつき
家の明かりがついていることにホッとした
大晦日に皆で年越しそば食べた時以来
まだ婆ちゃんと会ってないんだ
寝込んでたし…
皆んなが世話焼いてくれてたから
寝室として使わせてもらってる部屋まで
婆ちゃんが来ることが無かったのだろう
ガラガラガラッ
「ただいまー、婆ちゃ〜ん?」
婆ちゃんは、俺たちがきた日に
人間のさとしのことを見て、
一瞬で昔飼っていた猫のさとしだって
気がついてたんだよな……
…何でだ?
子どもの頃いた猫のさとしも
人間になっていたんだろうか…
「あぁ〜…分からねぇッ……」
俺を助けて木の上から落ちていった
あの後の事も…婆ちゃんなら
何か知ってるかもしれないな…
ザッザッザッ
[お帰り…遅かったね…]
「…婆ちゃん……ただいま……あのッ!」
[そんな所で話してないで
…早く上がりなさい…]
「ぁ……うん…」
俺が靴を脱いでる間に
丸まった背中をこちらへ向けて
居間の方へ重たげに足を擦りながら
歩き出す婆ちゃん
ずっと抱いてる疑問を
早く……一つでも早く紐解きたくて
まだ玄関だと言うのに
婆ちゃんの背中に向かって話しかけた
「…婆ちゃんッ!…さとしのこと」
[…聞いたよ潤くん達から]
なんなんだよ…
なんで背中向けたまま話すんだよ…
めちゃくちゃ意味ありげじゃんッ//
「婆ちゃ…
[ほれッ…はよ手洗って居間に来なさい
茶、淹れて待ってるぞ〜]
行ってしまった
まぁ、居間に行けばいい話なんだが…
俺は早く婆ちゃんから
さとしに関する何らかの情報が欲しくて
居間へ急いだ…
ザザザッ
「婆ちゃんッ!!………あ…」
寝てる?
急須と湯呑みがこたつの上に置かれ
すぐ側には電気ポットまで用意して
回転式座椅子に腰掛けた婆ちゃんは
首が前方へ垂れ下がり眠っていた
そう言えば…婆ちゃん…
昨日、訃報受けたとかで、
帰って来たの俺が寝た後だったよな…
今朝も俺より早く出て、
手伝いに出てたみたいだし…
[…ピ〜……ピ〜…]
本当、小さくなったよな…//
さとしのこと聞きたいげど…
無理はさせたらダメだ
「婆ちゃんッ!婆ちゃん!寝に行くよ!」
[お……翔…来たか?]
「俺、連れてくから、ほらッ背中乗って!」
婆ちゃんが直ぐ乗れるように
足元に背中を向けてしゃがみ込む
[あ、いぃ〜いぃ〜!自分で歩けるッ]
「ダメ!!…婆ちゃんに倒れられたら
俺が困るからッ!ほらッ!!」
[んははは…じゃあすまないね……ッと]
婆ちゃんを背負って、寝室へ向かう
[…翔……]
「ん?…何?」
[大きくなったなぁ〜]
「ふはッ…何だそれ……
…婆ちゃんは、軽すぎるよ…//」
[ほほッ//……翔]
「ん?」
[明日、山登るぞ!]
「……は!?」
[山じゃよ……山]
「はぁああ!?
婆ちゃんが登るってこと!?
明日!?……どこの山よッ//」
婆ちゃんの部屋に着いて、
襖を開けた
[翔が皆んなと登った山じゃよ……]
「はぁあ!?
婆ちゃんの足腰で行けるわけッ……」
[5合目までだから大丈夫だ…]
5合目!?
また5合目……
[まぁ…お前さんが欲しい答え
見つかると思うぞ…]
「!?…それって……さとしのこと?//」
[さぁ、どうじゃろな……
ほれッ!!寝るぞ…]
カチカチッ
「あ、ああ……お休み」
婆ちゃんが部屋の電気を消して
布団に潜り込んだ
[お休み…]
俺が欲しい答え……//
婆ちゃんが知ってて俺が知らない
さとしのこと……
その後、風呂入って飯食べても
その事が気になって仕方なかった…
ドキドキして
布団に入っても気になって眠れないだろう
と…思いながらも……
疲れが溜まっていたのか
恐らく直ぐに意識はとんだ…
さとし…お前の手がかり…
何かつかめるといいな///
つづく⭐︎⭐︎⭐︎