side S
もこもこ の泡のかたまりが ふたつ
白くモヤのかかった湯気と共に
揺れ動く…
一方は…真面目に泡立てて
つい先程…
目の前のコイツへの感情に気づき
そのにゃんこを刺激し過ぎないように…
…振り回されてばかりは悔しいから
鼓動の速さを気づかれないように…
真面目に…ゴシゴシ…泡立てる
もう一方は…
初めて感じる泡に魅了され
ふぅ〜ッと息を吹いては
泡のカケラを撒き散らす
掴んでは引っ付いて…
引っ付いては飛ばされて…
色んな造形美を作り出す
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待て、まて、まて……
約束はどうなったんですか?
変な動きしたら…
追い出すって言った筈ですが…?
覚えていらっしゃいますか?
絶対、忘れてますよね…
{凄いぞ♪
しょぉの頭…ネコ耳できたぁ♪}
「さとし//…ッ……ハァ…離れてッ///」
{んふふふッ///…やだぁ〜ッ♪
あたたかいでしょ…んぁッ///}
この賃貸アパートの唯一の不満は
風呂場だ…
全面タイル張りの昔ながらの風呂場で
窓がそこそこデカい…
銭湯みたいで雰囲気は好きだが
冬場はとにかく寒い…
だから浴槽に浸かってない時は
シャワー全開!
風呂場用の床マットを敷いて
その上座り身体を洗っている…
さとし には、
俺が頭洗うのを見とけとだけ伝え
かけ湯して浴槽に突っ込んだんだが…
…シャンプーしてる間に
俺の脚に座り込んできやがったッ///
勢いで転けそうになって…
脚を開いた俺が悪いのかもしれない
…けどさ…
コイツには…
距離感と言うものは無いのか!?
わざわざ…
擦り寄せてこなくても良いだろッ
猫だからとでも言うんだろ…どうせ…
猫って気まぐれと言うか…
構われ過ぎるのを
嫌がるイメージなんだが…
ずっと構ってちゃんの場合は…
どうすればいいんだッ!?
「なぁ…今は…人間なんだから…
…ゔぅ///…ハァ……覚えて…
自分でシャンプーしろよッ///…ハァ…」
{ネコだもんッ♪…ぁッ…んんッ///}
「猫を言い訳にするなッ!
…猫はここまでしない…だろッ///
お願いだからじっとしててよ…//」
{だって…しょぉのが当たって…はゎあッ///
気持ちいいになってるんだもん…///
悪いのは…しょぉのこれだよッ!}
きゅッ
ゾクゾクゾクッ
「んあッ///バカ!触んな///」
{みゃッ♡泡の尻尾だな♪
でも…人間の尻尾は…短いんだな…}
「………は?」
{ボクの尻尾の方が長いぞ♪
…あ、今は無いけど……}
「お前が触ってるのは尻尾じゃないの!
尻尾は後ろでしょッ!!ここッ!!」
{んぁッ///…ふふッ…くすぐったいッ///}
「人間に尻尾はないの!!
それにこっちなら俺のが負けてないッ
…て…あぁああーもおぉ〜
猫相手にムキになってどうすんだょッ//
…あのさぁッ!
ココは大切な人と大事な時にしか
触り合わないの…分かるか?
悪戯に弄る場所じゃないの!!
…もぉ〜どうすればいいんだよ…///」
理性を保とうとひとり耐えてるのが
バカみたいじゃんッ!!
{だから苦しくて気持ちいいしよッ?♡
ボク…しょぉのこと好きだよ?}
「ッ///…あぁもう!
お前が悪いんだからなッ!!」
{わッゎッ…んにゃぁッ///}
ここまで耐えに耐え
さとし の 頭を懸命に…
…いや…
…後半、手に付かなかったが…
せっかく真面目に洗ってやってたのに
煽ってくるコイツが悪いんだ…
シャンプーがついた手で
ふたりの熱を掴み取り一気に扱いた
さとし が 首に捕まって揺れ動くから
シャンプーが垂れてきて視界を遮断し
感覚だけで扱っているが…
{はぁぁあッ///んっにゃぁッ……はぁッ}
シャワーの音が…
風呂場を占領するなかで
耳に感じる声が…
吐き出される息が…
耳から全身に響き渡り…
感度を高める
コイツは1回出したら満足したようだが
その気にさせたのが悪い…
シャンプーを流して身体を洗いながら
しつこい…と言って逃げてく
さとし の腰を捕まえて…
今度は後ろから
脚の隙間に差し込んでもう1回
浴槽でも、背後から抱き寄せ
赤く火照ったカラダを堪能した…
{もぅッ…いっぱいしたらダメッ!///}
と、べそかいて言われて…
漸く我に帰る…
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「はあぁあ……結局、
アイツの挑発に乗ってしまった…」
疲れた…
今日一日が長すぎて…
終わらないかと思った
くたっと力ないコイツを先に着替えさせ
寝室兼リビングスペースに向かわせる…
コレで少しは懲りただろう…///
浴槽を片付け、俺自身も着替えて
アイツの居る場所へ…
ドライヤーと
ペットボトルの水を持って向かう
「ほら水…髪も乾かすぞ…
…?…さとし?」
{……}
俺の大きめのスウェットをゆるっと着て
ベランダに続く大きな窓を前に
さっきまでと違い…
感情が汲み取れない横顔で
いや…どことなく淋しそうな…
…不安を含んでいそうなブルーの瞳が
空の一点を見つめる
「…どうした?…」
声をかけられ返答はあるものの
視線はそのまま
コイツの横顔……きれいだな……
「?……何かあるのか?」
隣で俺も同じように空を見上げた
{なにも…
…でも…いつも見てるから…}
「えっと…空を?」
{……ボクを……}
「?」
{……}
ブルッ
「ゔぅ…窓際は冷えるぞ…
せっかく風呂入ったのに湯冷めしたら
風邪引く……ほら…こたつ行こう…」
{…ん…}
さとし の腕を引いて…
こたつへ連れて行き…
ベッドを背もたれに
こたつに脚を入れて座らせた
{……}
「大丈夫か?
えとッ//…風呂場では悪かった///
無理させた……よな?
…ほら、水飲みな?」
ペットボトルをさとしの前に差し出す
{……何…コレ?}
「水!…口つけて飲みな?
それと髪乾かすぞ!
大きな音と風出るけど大丈夫だから」
手にペットボトルを持たせたら
俺はベッドに腰掛け、
後ろから さとし の髪を乾かしていく
「よし!終わりッ♪
…どうだ?…怖くなかったか?」
窓辺にいた時と同じような雰囲気で
小さく頷く…
「逆上せたのか?
…水飲んだ?……水分とりな?」
手に持ったままのボトルのキャップを開け
口元へ近づけてやると…
漸く俺の方を向いてくれた
けど…
その瞳が揺れていて心配になる
{…しょぉが、飲ませて?}
「……いいよ…」
ペットボトルを受取り、
口に含んで さとし の唇を割って
隙間から水を流し込む…
「…ハァ…///……まだ飲む?」
{…うん……ほしぃ……}
今度は少し長く…
コクコクと喉がなり終わっても…
…もう少し長く…
{ふ///……んッ… しょッ……ふぅッ///}
「ッ…ハァ……大丈夫か?
…何かあるなら…我慢するなよ?」
揺れる瞳を…
真っ直ぐ見つめて伝える
{……ボク……こわぃ……
…ネコに戻りたくない…しょおといたい}
「それは…俺にも分からない…な…
…ごめん…でも…
猫に戻ったとしても一緒にいよう?
…それは約束する」
{……うん///}
漸く、少しだけ…口元が緩んだ
「さとし は…どこから来たの?
その首輪……えっと…
チョーカーは誰につけられたの?」
チリンチリンッ
さとしの首に触れて…
チョーカーに付いている鈴を鳴らす
{ふふ…くすぐったいッ//
…分からないの…
しょぉに逢う前までのこと…
何にも覚えてないの…}
「…そっか…」
そんな事あるんだろうか…
猫にも記憶喪失とか…あるのかな?
{しょぉ……眠たぃ……でも怖ぃ…}
「大丈夫…側にいるから…おいで」
さとし の腕を俺の首に回して
抱き上げベッドに寝かせた
そして布団を被せ、頭を撫でる
{しょ…ぉ…抱っこぉ…}
「甘えん坊な猫ちゃんだなぁ///
…しょッと!」
不安で今にも泣き出しそうな姿が
…ほっとけなくて…
寝かしつける為に布団に潜り込んだ…
{ネコに戻らないように、離さないでね…
ずっと…一緒にいて……ね…
しょ…お………す……き…………スー……}
「ふはッ///……くち…開いてるし//」
猫に戻りたくない…
俺といたい…
そう言ってくれた愛しい温もりに…
もう一度だけ…口をふさぐ…
どうか…目覚めても
このまま
…さとし でいてくれますように…
つづく⭐︎⭐︎⭐︎
今日から子ども達、登園開始⭐︎
冬休み最後に全力で遊んだら…たっぷり9時間睡眠
久しぶりにこんなに寝ました…
朝の更新には間に合いませんでしたが…(*´∇`*)
やっと…自分時間…確保しやすくなりました♡
冬休みさらばじゃ♪
さぁ♡お話…書くぞ〜╰(*´︶`*)╯
La mimosa