気象系の赤×青さんの妄想BL小説です
書ける場所を与えて頂けてる事に
感謝を込めて…
side S
正午を過ぎると
街では雪が大地へと溶けだし…
遅れが生じていた電車も
少しずつ運行を再開しているようだった
直ぐは混むからと、
駅前のラーメン屋で昼飯を済ませ
雅紀行きつけの登山ショップへ
皆と移動していた
{こらッ!離せぇッ!!
まちゃきッ!まちゅじゅん!!
オマエらボクを誰だと思ってる!?}
『 猫 』
{そうだッ! ネコだぞ!
分かってんのか!!
まちゃき…オマエ…
いいヤツじゃなかったのか!? …
…しょぉ…助けて〜ふにゃ〜///}
さとし の両腕が雅紀と松潤に奪われ
逃れられない様にガッチリガードされる
暴れ回る智は、時々足が宙に浮く
『そこの猫、うるさいですよ!』
{猫じゃにゃぃ!!さとし だぞッ!
や〜だぁ〜!!離せはなせぇ〜//
ボクは…ずっと…あそこにいるッ!!
…ラ〜メンッ♡…
ふにゃーッまだ食べる〜}
『あひゃひゃッ//
自分で猫って言ったんじゃん♪
ラーメン気に入ってくれて良かった!
…あッ!そうだ…
皆〜!冬用の登山靴持ってる?』
『持ってるわけないでしょう!』
『…俺持ってるよ!前に相葉くんと
登った時のだけど…』
{…ラ〜メ〜ンッ……しょぉ…}
「俺はねーな……それって…必要?」
『もちろん!
他の道具や衣類は現地の
登山ショップに貸出予約したけど…
…靴はね……
自分にあったの履かないと…
それに夏用と冬用では機能が違うし…
足の不備は山では命取りだよ』
『えぇ〜たった1回、雪山登るために
靴を買うんですか?…勿体無い…』
『まぁ〜まぁ〜ニノには今度、
美味しいもの奢ってあげるから♪
…松潤のは…
店行く前に、家に寄って行こう!
ソール傷んでたら…
修理は間に合わないから…
残念だけど買い換えだな!』
『うげッ⁈マジかよッ
…金ねぇ〜よ…』
「ふはははッい〜じゃん♡
潤は1人分だろ?
俺は…さとし のと2足だよ…」
『金のかかる猫ですね〜…
さとし!ラーメンなら
いつでも食べられるんだから
そろそろ自分で歩きなさいよッ!!』
ふたりに捕まっていた さとし が
ここで漸く解放される
「雅紀、松潤サンキューな…」
{しょぉ〜♡
撫でなでしてぇ〜〜♪}
自由の身となった さとし は、
今度は俺に向かって抱きついてきた
「ふはッ//
甘えん坊のにゃんこだなぁ〜///」
俺たちは学生最後の想い出として
初日の出を拝むために
前々から計画を立てていた
何度か登った事のある山だから
勝手は分かってるつもりだったが…
今年は寒波の影響で
山林の方は雪山と化しているらしい
雪山登山は人生初
どうなるか予想が出来ない不安と…
新たな体験への期待
そして急きょ…
さとし を連れて行くことになった
今回の登山旅行
更に待ち遠しく感じている
『それにしても翔さん…
今回も悪いですね…//
お婆さんお一人で俺達を迎える準備
…大丈夫でしょうか?』
「ん?…あぁ〜それが婆ちゃんさ〜
イケメン達に会えるって
凄い張り切っててさぁ〜♪」
そう…
元々は雅紀の知り合いがいる
登山ショップがあるからと、
今日行く所とは別の店がある場所の
近くの山を探してたのがきっかけ
そして選んだ山が、
偶然にも俺の婆ちゃんが住む
地元の山だったんだ…
だから同じ山を登る時は
全員で泊まらせてもらっている
今回も俺たち4人で世話になると、
事前に婆ちゃんには伝えていて…
その事を楽しみにしてくれているんだ
後で、さとし の事も伝えないと//
「おいッ松潤!
お前、婆ちゃんの推しメンだから!
サービス頼むなッ♪ふはははッ///」
『お〜♪
婆ちゃん愛してるぞ〜』
『あひゃひゃ♪今じゃないよッ』
婆ちゃんもいい歳だし、
年末年始で
顔出したいなぁと思ってたから
俺としては有り難い…
もちろん!!
100%もてなしてもらおうとは
思っていない…
その間の家事や炊事…
普段婆ちゃんが出来ない事など
全員総出で手伝うのが鉄則だ……
…と言っても、婆ちゃんは…
動いてないと落ち着かないみたいで、
結局は、誰よりも1番元気に
家中を駆け回っている
恐らく、俺のDNAの多くは…
婆ちゃんゆずりなんだと思っている
『さとし〜
翔さんのお婆さんのお家…
凄く大きいから迷子になるなよ〜
じゃないと怖いお化けが出てくんぞ〜』
{…オバケ?}
『暗くてドキドキして捕まったら…
そうだな〜
食べられるかもしれねぇ〜ぞ』
{んにゃにゃッ!?…しょぉ…
…ボク…食べられちゃうの!?}
俺の腕にしがみついていた
さとし に力が入り…
こちらを不安気に見上げてくる
「アハハハッ大丈夫だよ!
あ、でも…
ちゃんと皆の言うこと聞かないと
本当に出るかもしれないよ…」
{イヤッ!絶対いやぁ〜
…しょお〜…抱っこ〜…}
「ちょちょっと…さとし…流石に外では///」
たわいもない話で盛り上がり
今日初めて会ったとは思えない程に
皆んなの輪の中に溶け込んでいる
と言うか…
猫のグッズを持ってきてくれた
雅紀を始め…コイツら皆んなが
底なしに優しいんだよな……
就活に失敗しても、
一切気を使う様子もないし…
両親や周りの奴等みたいに、
俺のついてない性格を責めることもない
弱さをあえて見せる事はないけど…
それを許せる相手って
やっぱり貴重だから…
コイツらとの今しか出来ない想い出を
沢山作りたいと思う…
✳︎
✴︎
✳︎
✴︎
✳︎
『よーし!…皆、靴履いたね〜』
{お〜〜♪}
『当日、靴擦れしないように、
各自履き慣らしながら帰るよ〜』
{帰るよ〜!にゃはははッ♪}
登山ショップで靴を買った俺たちは
少しでも履き慣らそうと、
行きの時の靴と履き替えて店を出た
今は、さとし と雅紀が楽しそうに
俺たちの先頭ではしゃぎ歩いている
さとしなんて…
猫みたいに高くジャンプして…
あ……猫か……
『あの二人…
すっかり意気投合してるな…』
『動物好きってこともありますよね♪
思考回路が同じなんじゃないですか?
冬でも勘違いして咲き続ける
…ひまわりみたいな?』
「はははッ…元気だなぁ〜♪
あ、潤…靴代、半分助かった…」
『別にいいよ、
俺の靴はそのまま使えたし…
ファンの孫にも紳士でいないとねッ♪』
「本番でも頼みますよ〜♪ふはッ///」
{ねぇッ!
しょぉ♡ラーメン、食べよッ♪}
さとし が雅紀の所から
俺の隣にやって来た
言ってる事は…
色気のカケラもないんだが…
俺が腕を少し浮かした隙間に
自然と入り込む さとし の細い腕
その腕が指先へ伸びて来て
俺の手のひらをいたずらに触れるから
掴みとって絡めあう
それが当たり前のように…
自然とカラダが反応してることに
少しだけ…驚いた…
さとし を見てみると、
俺の視線に気がついて見上げてきた
{なぁ〜ん♪…ふふッ///}
「…ッ…///」
…可愛いな…コイツ///
「あ、ほッほら///
さとし もう一度、松潤にお礼言って?
靴買うの協力してくれたんだよ…」
よく考えたら皆んなの前だ
せめて指を解こう…
さとし の指から離れようと動かした
でも…
絡めた手は離れることなく
きゅッ きゅぅッ///
「へ?///」
{…べ〜///}
さとし の指がそれを許すまいと
2回強く握り返してきた
ダメ…とでも言ってるかのように…
そして指は絡んだまま…
松潤を見て一言
{まちゅじゅんッ!
よくやった!}
『めちゃくちゃ上からかよッ!』
{キャ〜怖い顔〜♪}
猫の本能なのか?
人の扱いがうまいとでも言おうか…
俺たちそれぞれへ関わり方の変化も
実に見事だと感心する///
そして俺へのスキンシップの多さに…
完全に気を許して甘えてくる姿に…
朝方の…
ふしだらな行為を犯した時とは違い
胸が… きゅッ …と
ほんの少しだけ… ぎゅっ …と
強く絡みあった指のように
苦しさを…
その奥に潜む…愛しさを
…感じた気がした…
『あ…では、我々はこっちなので…
さとしッ!翔さんの言う事聞いて、
いい子にするんだぞ!』
{ニノもなッ!
ボク、とってもいい子だぞ♪}
『あははッ//さとし はニノの事、
同類と思ってるんじゃないの?
背格好も似てるし♪』
『にゃんですってー!
……って恥ずいゎ///』
『あひゃひゃ//
2人ともいい子でちゅね〜♪
翔ちゃん…さとし の事で何かあったら
いつでも連絡してね!』
「おッおう!サンキュー♪
それじゃあ…31日に!!」
『さとし!またなッ!』
『ラーメン食べ過ぎないでくださいよ〜』
『ふたりとも気をつけて!じゃあね♪』
{…しょぉ?…また…逢える?}
俺を見て、不安気に聞いてくる
可愛い八の字眉の持ち主に…
優しく笑って頷いた
{そっか///……うんッ!またなッ♪}
そう言って
…5人全員が手で挨拶を交わし
俺たちふたりは踵を返して歩き出した
赤色と青色の登山靴で
つづく⭐︎⭐︎⭐︎