気象系の赤×青さんの妄想小説です
※BL・18禁要素を含みます
※男子禁制です♡

これより先は
ご理解頂ける方のみお進みください




このお話は
クリスマスのお話です

違うタイミングで
遊びに来て頂いた貴方様へ


この先へお進み頂く際は


クリスマスのあの雰囲気を…
心に灯る
あたたかな空気感を
少しばかり
思い出して頂ければ幸いです


お話を楽しむには
皆様の妄想脳をフル稼働して頂く
必要がございます♡

私一人の力では
お話は完成出来ませんので
皆さま、お手伝い宜しくお願い致します


感謝を込めて…
La mimosa


行ってらっしゃいませ⭐︎
⭐︎ヽ(´▽`)/⭐︎⭐︎⭐︎




side O






苦しい





苦しくて…



乱暴に吐き出される白い息は


一瞬にして掻き消されてゆく




せっかく美味しい食事だったのに…



口の中は鉄の味で上書きされてしまった







視界に煌びやかな光が入ってきたけれど…




僕にはやっぱり関係のない



イベントだったんだ…







思い上がってしまった




櫻井の隣に相応しいのは


男の僕じゃないんだ…






恥ずかしい






浮かれてしまった自分が恥ずかしい…







ツンッ

「ッ…


ザザッ…ズサッ
「…つッ……ふぅッ………ぅぅ…ッ///」





情けない…

歩道の側溝の穴にでも引っ掛けたのかな



盛大にこけてしまった…






でも


こんな僕のことなんか


…誰も気が付かない







「ッ…たい…ふぅッ……いたぃ…ょ…///」






手のひらにできた

赤く綺麗な球は…


小さく膨らみ

溢れ

そして赤く広く滲んでゆく…







ツリーが飾られた広場と歩道との仕切りに

設置された背の高い塀の隙間から




地面の冷たさを感じたまま


空まで届きそうな大きなツリーを眺める








 

僕には

ここから見るのが相応しい





櫻井への想いを
 

本人へ伝えることもないまま




勝手に終わってしまった虚しさは…





この手のひらの傷の痛みが


全て掻き消してくれる






大丈夫


少し痛みが続くだけ




痛みが治る時には


また笑って隣にいれたらいいな


櫻井の親友として…








「大野ッ!!」


「……」


「大丈夫かッ!?ハァハァ…転んだのかッ!?
 怪我は!?ほら、立てるか⁈…ハァ
 やっと…ハァー…見つけたッハァハァ
 よかったぁ〜…ハァ…ほら…ハァ…
 …起き上がるぞハァハァ…」




「……いいの…このままで…
 …今日はもぅ、ほっといて…」




ツリーと僕の視界の邪魔をする

櫻井の靴とは反対側を見る




「はッ!?何、言ってるの?
 …ってか早く起き上がれ!!ハァ…
 地面…冷たいだろ!ほらッ…」


グイッ

「ッ…いッ…た///………」

「えッ…どっか怪我してるのか!?ぅわッ手⁈
 血、出てんじゃん…大丈夫か?
 あぁッ⁈頬もッ‼︎…ぅわぁ~痛かったな…」


顔についた砂粒を

櫻井の白く長い綺麗な手が払ってくれる


「…んッ///…ハァ…別に…大した怪我じゃないから


「そんな訳でないでしょ…
 顔…傷残らないといいけど…あ!上着!!
 ほらッ羽織って…風邪引くぞ!」



櫻井がコートのポッケに手を突っ込み

綺麗なハンカチが取り出され


僕の手が温もりに包まれた



「ッ///…ハァ……んッ///ぃッ…ハァッ…」

「悪りぃ…こういうの器用にできなくてッ///」

「…ハァハァ……」



優しく真面目な人柄が伝わるような

ヘンテコに縛られた手のひらのハンカチが

直ぐに赤く滲んでしまった



「…ほら、これでコートの袖通せるか?
 バカだなぁ…震えてるじゃん…//
 もぉ…店出るにしても
 最低限上着くらい着て行けよ…

   ほら、立てるか?……しょッ…と…」
 


無気力の僕を起こすのは

大変だった筈なのに…

 
腕を取られ櫻井の肩に回されたら

いとも簡単に引き上げられ

ようやく冷たい地面から離れることができた





どこまでも迷惑かけてしまって…

情けないな…








「……りがと…


「ん?…なんだ?」



櫻井が僕の口元へ耳を近づけてきたので

もう一度…



「…ありがと……」


「フハッ///バカだなぁ…
 勝手に勘違いして帰るから
 こんなことになるんだよ……」




帰る…


さっきの子…どうしたんだろう…

せっかく2人にしてきたのに

櫻井がここにいるんじゃ意味ないじゃん…





謝ろうと顔を上げて

櫻井の顔を覗く





✳︎

✴︎

✳︎
 



「………何で…泣いてるの?」


「えぇ?………フハッ……だって…
 …お前が…全然泣かないから…」





僕の大好きな綺麗な顔が

無理して笑ってくれていて…



その綺麗な瞳から泪が溢れ落ちていた

 




「んふふッ…意味…分からないょ…
 …優しいね……
 櫻井は…いつも優しぃ…
 何も悪いことしてないんだから
 泣かなくていいんだよ?
 …んふふッ…バカだなぁ〜///」




僕の手のひらは汚れてるから…

手の甲でその雫を拭った






僕のための泪…だよね…

ありがとう…



「僕、もう…行くね…
 ハンカチ…今度新しいの買って返すから
 今日はありがとう…ご馳走様でした…」





これ以上、

櫻井と一緒にいたら


隣に並べない虚しさを脳が目覚めて思い出し

涙を出せと指令が出るかもしれないから




踵を持ち上げ

櫻井を通過して…



僕一人の未来へ歩き出す








だから…無自覚の可愛さと優しさ…
 巻き散らかすな…




タタタッ…

グイッ

「ひゃッ///…へ?何ッ?」



手首を掴まれ

また櫻井と向き合うことになり

びっくりして顔を上げるのと同時に



顔周りを包み込む温もりがきた…



ふわぁ

「はい…捕獲完了!
 もう、逃さないからなッ!!」




櫻井と俺を

もう一度それが繋げてくれた



「ほらッついて来て…こんな歩道じゃあ
 あまりにもムードがないんだから…」


「…っと…まッ待って……もぅッ///」




櫻井に引っ張られ連れてこられたのは



さっき道端に顔を沈め…

柵越しに見ていた

クリスマスツリーの前だった





「ちょッちょっと…櫻井、もうやめてよ…

 こんな…マフラーを一緒にするとか…///
   …さっきまでのディナーだって…
 マフラーの良さを伝える為の実践だって…
 
 僕は櫻井の親友で、
 ただそれだけの関係なんだから!
 他の仲間と同じ…男友達でしょう?
 お願いだから、僕に優しくしないでッ!!

 僕……櫻井のこと……すッ好きだから…
 これ以上、勘違いさせないでッ!!!」


グッ

マフラーを引っ張り抜け出した


「また…ね…」






今度はうまく櫻井の目の前から

去れると思ったのに…



「ッ…だから、捕獲完了って言ったでしょ」

グッ
「えッ!?…ちょっと///…もぅッ//」






また温もりが戻ってきた



でも今度は

頭近くまで顔全体を覆うように

ぬくもりに包まれる…



唇へのぬくもりと一緒に







「んッ///……ッ…ハァハァ…///だからッ…」


「ハァ///…好きなヤツが好きって言ってくれて
 還すバカはいないだろッ!!!」
 

「………へ?///」



それは元の位置まで戻り

煌びやかな世界に帰ってきた



「俺は…大野が好きなの///
   今日一日、俺の言動思い出してよ!!
 ハハッ…スゲーアプローチしてたでしょ///
   いい加減気がついてよ……」


「//////」


「このマフラーだってさ…俺1人の時は
 直ぐにズレ落ちるから凄く不便なわけよッ
 でも、大野と密着出来るかなと思って…
 してるのに……人の気も知らないで!!
 大野、ショーウィンドウのマフラー
 買いそうだったでしょ?
 …アレ、止めるの必死だったんだよ!!」


「…えっ」


「告白しようとしたら、邪魔も入るし…
 大野も勘違いして出ていくし…
 も〜俺の計画台無し…///」


「さっきの…子は?」

「は?アイツか?
 ゼミが同じってだけだよ…
 いつもグループでいるから
 最初誰だかわからなかったけど…
 特に親しい訳でもないよ…」


「…付き合わないの?」


「付き合わねぇよ!!
 俺が付き合いたいのはお前なの!!
 ねぇ、ちゃんと理解できた!?
 俺の気持ち…伝わった?

 ……って大野!?
 なッ…なに泣いてッ⁈///…あぁ、もぅ///」



ぎゅぅッ



それから漏れ出ていく

2人の白くなった吐息と共に


空ではチラチラと雪が舞い落ちる

 
 
もう視界はぼやけて見えないけど

櫻井の温もりと香りで

閉した心が溶けているこは理解できた


まさか櫻井が…
  
そんな奇跡みたいなこと

本当にあるんだ…


「泣くなよな…///
 俺、どうすればいいか分かんないじゃん」


「…ハァ…泣いて…ないもん///…グズッ//
 ぅ〜…///…ズズッ




さとしッ泣くな!!…」 

      ちゅぅ
「えッ!?…ッ…ふんぅッ///…」









びっくりし過ぎて
 
涙が止まった




「…ハァ…甘いな……ぁ…
 マフラーで隠すの忘れてた」

「ッ//////…いま…名前…」




櫻井がニカッと笑って言った




「じゃあ…どうしよっか?

 ここでもっと
 深い深いキスの嵐を降らすか…

 俺の家で飲み直すか…///」



「そッ…その二択しかないのッ!?」



「そう!返事ないならキスの嵐で…」
「の、のみッ…飲み直す!!///」



「よし、決まり♪
 じゃあ恋人巻きのまま帰りますか♡
 言っておくけど、家までずっとこのまま
 だからね♪……じゃないとこのマフラー
 買った意味がないから♪」


 
櫻井が俺の腰に手を添えた


「ええッ!?…む、ムリ!!
 駅構内とか電車とかもって事でしょう?
 …は、恥ずかしいから無理…外してッ!///」
 


「…ん〜〜…じゃあ…名前?」

「へ?///…なに?」


「智も俺のこと名前呼びで翔って
 呼んでくれたら…外しても良いかな」


「えぇッ!?///…む、無理ッ!絶対無理!!」


「…何で?…いいじゃん、名前呼び!
 俺たち両想いだろ?呼んでよ!…翔って」






こんな単純な駆け引き


直ぐにそれを解くことも容易で…

言わないと選択することだったできるのに




僕の心の奥底で…


その言葉を言えた先の未来が見たいと


後押しする気持ちがある



勇気を持てと




きっとお酒のせいもあるのかもしれない


いや


白く混ざり合う吐息が…


目の前から漂う香りが…



僕の脳を刺激して

思考回路を

うまく回らせてくれないのかもしれない






心臓が大きく鼓動する




「ゔぅ///」

「さとしッ…ほら、さとしも早く…お願い///」


「もッもう!焦らさないでッ!!
   …んとッ…えとッ…しょッ…ハァ…

    ……ハァ……しょ お …///」





ゾクッ


「ぅわあ///ヤバいな…///
 しょうではなく、しょおなのかよ…///」


「あ!?ご、ごめんね…えっと…しょう」
あッダメ!!



ちゅッ

「んッ///…ちょッやめッ……またぁ/////
   し、しかも…また隠してないからぁッ///」




「……しょお……で…///」

「…ん?なぁに?///」




たぶん…いや、

きっと僕の顔は真っ赤になってて…


目の前にいる大好きな顔も真っ赤で…


クリスマスの雰囲気と街の明かりや

煌めくイルミネーションのお陰で


思っていたよりも目立つことなく


この空気に…

溶け込むことが出来ていると思う

「しょう…じゃなくて、しょおでお願い!
 めちゃくちゃ特別感あって…
 スゲー嬉しいからッ!!」



「…ふッ……んふふッ///…分かった…
 
 …  しょお ………これで、いい?///」



両腕を僕の頭に乗せて

しょおが顔を沈める


「ゔッ///ああぁあーーーヤバいッこれッ///
 …かッ下半身にくるッ…////ぅ〜…///
 あはははッヤベ〜俺の恋人…可愛すぎる///
   うぅ〜…無自覚ちゃんはヤバいな…///



それ によって

ふたりの白い吐息の逃げ場はなくなり

街の音も視界も遮られ…


ダイレクトに伝わる

彼のあたたかな息づかいと言葉は……


ちょっと!!息苦しいからッ!!ハァ///
 腕どけてッ!!しょお…ハァ…お願い…ッ///



僕だって…  "ヤバい”  と思ってる…///






ぎゅっッ
 

頭上にあった腕は、僕の背中へと周り

漸く解放された

このふたりだけの空間の熱は…


 スゥッ    はぁ✳︎✴︎✳︎✴︎✳︎✴︎✳︎


白くなった吐息として空に消える






「さとしッ…ありがとう!!好きでいてくれて…ありがとう!!…好きって言ってくれて…勇気をくれて…ありがとう!!来年も!その翌年も!!そのまたもっともっと先の未来も…またココで同じ景色を一緒に見よう?」



「ッ……ぅん///…ずっとずっと一緒にいてね

 ありがとう…しょお///
   …好きでいさせてくれて…想わせてくれて
   大切な存在でいてくれて…ありがとう///」



「ッ〜〜〜あぁああ///サンタとトナカイに
 聞こえる位、大きな声で叫びて〜〜…!!
 あはははッ……俺の恋人最高ですって…
 最高のプレゼントを…
 ありがとうございますって!///」


「ふふ…じゃあ僕も一緒に叫ばせてね♪
 僕の恋人はモテるから…
 他所に目が向かないように
 しっかり見張ってて下さ〜いって♪」


「はぁあああ!?そんな事ならないから
 サンタに言わなくていいしッ!!
 むしろ智の方が無自覚にフェロモンを
 巻き散らかしてるから全部回収てくれーって
 頼まないと!!!」


「んははははッ///ふたりとも、もう…
 サンタさんにお願いする内容じゃないね///
   んふふふッ…サンタさんは子供たちに
 プレゼントを届けるのが仕事だからね♪」


「アハハハハ///本当だ!!」


ふたり笑い合って

ツリーを背中にした



「じゃあ行くか!!」


「えっ…ちょッ…マフラーとる約束は?」


「却下だ⭐︎」







最初は憎い相手だったはずのそれは


今では俺と櫻井を繋いでくれた


大切な存在へと変わった





この変わらない景色を


いつまでも


ふたりで見つめていたい







チェックのマフラーで繋がる


ふたりの距離で…










fin









無事に終わりました〜♡
朝から長めのお話し失礼しました…

今日も良い一日をお過ごしください♪

La mimosa