気象系の赤×青さんの妄想BL小説です
side O
秋晴れの心地よい1日だった
あと2時間程で日が暮れる
西陽が眩しく
寝不足の俺には少々眩しすぎるが…
心にエネルギーが届くような…
そんな気がした
翔くんが入院している病院へ
仕事の合間に見舞いにきた
今朝も荷物を届けに来たけど
まだ眠っていて
会話出来なかったから
目見て話したいなぁ…と思ったら…
駆け出していた
ガラガラッ…
「……翔くん?……あッ!」
母[…あら、智くん…//…]
翔くんのお母さんが
ベッド脇の椅子に腰掛けていて
こちらを向いて声を掛けてくれた
昨日の今日だし……
俺いたら迷惑だよな…//
目を伏せて詫びを告げる
「…あ……えっと…すみません!
出直します!!…失礼し…」
母[あッ!待ってちょうだい!
…翔が…//]
「…え?」
翔くんという単語に反応して
ついお母さんの顔を見てしまった…//
慌てて視線を逸らそうと思ったものの
お母さんは、翔くんと同じ…
優しい笑顔で話しを続けてくれた
母[翔が朝、目覚めたのよ!
そろそろ回診の時間だし…
待ってたら…
翔と話せるかもしれないわ♪]
「…えっと…///」
母[…翔ったら、昨夜からずっと、
寝言で『智くん、智くん』って♡
もう先生方にも聞かれちゃって…
口止めするの大変だったのよ♪]
「えぇ⁉︎……翔くん…///
…あの…なんだか……すみません/////」
恥ずい///
恥ずかしすぎるッ/////
お母さんと視線を交わし続ける事が
困難になり…
目を伏せ足元を見た…///
母[…ふふッ♡いいのいいの♪
翔が智くんのこと、
どれ程、好きなのか……
あの人にも少しは伝わったかも♪]
「…ええッ!?
お父さんにも聞かれたんですか⁈///」
母[…もちろんよ〜♪
あ!ほら!こっち座って♪
ほら、こっちこっち♪」
「……/////」
恥ずかし過ぎて、
今すぐこの場を去りたいところだが…
お母さんに手招きされ
逃げる訳にもいかず
用意された椅子に腰掛けた
「…あの……お父さんは?//」
母[あ!あの人は今日は来ないわ♪
仕事だから、安心してね!
……ねぇ?……智くん…?
もう少しお話しても良いかしら?//」
「…はいッ!勿論です!
それよりも…
僕こそ、ここに居て良いんですか?」
母[当たり前じゃないッ!!
あなたは翔の大切な人でしょう]
「……有難うございますッ//…
…でも、申し訳…」
母[待って!!
謝らないでッ!!!]
お母さんは声を張り上げると
椅子から立ち上がり、
俺の方へ振り向き
いきなり頭を深く下げてきた
母[智くんは、
何も悪い事をしてないでしょ…
謝らなきゃならないのは私達です。
うちの人が、智くんに酷いこと…
本当に申し訳なかったと思ってます
…それに…私も止められず…//
ただ傍観する事しか出来なくて…
本当にごめんなさい!]
深く深く頭を下げられ、
言い終わった後も
頭を上げてくれない事に慌てる…//
「…そんな…//…やめて下さい!
頭を上げてください!」
母[いーえ、酷い事したんだもの…
あなたにも翔にも…
許してもらえないかもしれないけど
本当にごめんなさい」
居た堪れず、
翔くんのお母さんの肩を抱き
頭を上げてもらうように促した
「ありがとうございます。
僕はそれだけで…もう充分です…
どうか頭を上げて下さい…」
そこまで言うと、
漸くお母さんが頭を上げてくれた…
母[…ありがとう。
智くんは優しいのね…//]
「そんなこと…ないですよ…
むしろ…僕の方こそ…//
お母さん方を不安にさせてしまって…
大切な息子さんを…
巻き込んでしまって申し訳…
「巻き込んでないから!
ゔぅッゲホゲホケホッ//」
「……しょッ⁈/////」
ガラガラの声だけど、分かる
俺の大好きな声…///
「翔くん!!…よかったッ//…」
「はぁあッ…はぁぁッ…智…くんは…
巻き込んで…ハァハァ…ないから…//」
「翔くんッ無理しないで!」
母[私、先生呼んで来るわね!
智くん、翔のこと宜しくね…]
「はい!!」
お母さんが
病室から出ていく音が聞こえた
その間もずっと
俺は翔くんの手を握りしめ
瞳を覗いていた…///
「…翔くん…おはよう…/////」
「…おはッ…ハァ…ようッ//…ハァ…智くん」
「…ごめんな…俺がもっと早く
翔くんを病院へ連れて行ってれば…」
翔くんは僅かに首を振り
握る手に少し力を入れてきた
「智くんの…せいではないよ…ハァ…
…いろいろありがとう……ハァハァッ…」
「早く元気になってッ!!
翔くんを抱きしめたいし……
抱きしめてもらわないと…淋しいよ///」
見下ろした翔くんの頬に
ぽたぽたと水の粒が落ちるのを見つけて
自分が泣いてるんだと
気がついた…//
繋いでいた手が
力なく震えながら抜け出し
近づいてきたな…と、思えば…
「……泣くの…ハァハァ…禁止…ハァ…」
弱々しく微笑み、
震える手で
瞼に溜まった涙を拭ってくれた
「…グスッ//…ふふ…泣いてないからッ///」
翔くんの瞳がまた閉じていく
なのに…
ゆっくり腕から両手まで広げられ
それが、俺には…
何だか…ここに来い…って、
言ってくれてるみたいで…///
「…ゔぅ…翔…くん…翔くん…」
翔くんに応えるように
ゆっくりと腕の中へ入れば、
軽く触れる程度に留める
翔くんはゆっくりと…
俺の背中に手を回し抱き留めてくれた
それだけで、
翔くんの温もりを感じて…
気がつけばまた、
翔くんをポタポタと濡らしていた…
そんな俺たちを見て、
お母さんと口止め済みの看護師さんが
扉の外で優しく見届けていた事など
気が付かない程に…
つづく
皆さんからのいいねやコメントやフォロー等
励ましのおかげで、気がつけばこのお話、60話…
何素人のくせに、
こんな長編書いちゃってるんだ〜と
1人ツッコんでおりますが…
この1ヶ月程、凄く充実させて頂いております。
ありがとうございます。
La mimosa