気象系の赤×青さんの妄想BL小説です
この回、二人には試練を与えております。
その為、多少なりとも
不快になられる表現がございます。
ですが物語を進展させる上で
大切な回となります。
見届けて頂ければ幸いです♡
La mimosa
side S
11月に入り
昼間でも薄めの上着が1枚必要になる程
秋が深まるこの季節
先月の俺の入所記念日に
智くんから貰ったキャンバスへ
誓いの返事を果たすべく、
そして二人の未来を1歩前進するべく
俺の両親へ
智くんをパートナーとして紹介し、
日本で言うところの結婚を
認めてもらうべく今日ここに来た__
智くんと目配せをして
話を切り出そうとしたその時だった…
[…それで翔、
…最近はどうなんだ?…コレは?]
父さんが静かに片手の小指を立て
信じられない事を尋ねてきた……
「………は?…」
[ちょっとッ…あなた…//]
[お前も忙しいとは思うが
将来の事を考えて
もう少し真剣に探してみたらどうだ?
……いいか?
相手を見極めないとならないぞ!]
「………は?」
いきなり頭を鈍器のような物で
殴られたような衝撃に
一瞬、耳を疑った
何を言ってるんだ?
この人は……
「…待ってよ……ケホッ……ハァハァ…
…何それ…//…ハァ…俺、この間…
父さん母さんに言ったよね?
…智くんとのこと…//…コホッ//」
「……翔くん…」
横に座る智くんが、
震える拳に上からそっと手を添えて
落ち着いた優しい声で声をかけてくれる
[あぁ、聞いたな…お前の考え。
…父さんはな、恋愛は自由だと思う。
それに人様の前に立つ身
お前が大変なことも知っている…
だから、今は大野くんと
支え合っていくことには異論は無い。
だが忘れるな…
お前は櫻井家の長男だ。
後世のことを考えなくてはならん。
今は遊びてあっても、いつかは必ず
その事を考える日が来るんだ…」
何を言ってるんだよ…
嘘だろ…//
冗談って言ってくれよ…
たった今、
父さんから初めて聞いた言葉の数々に
信じられない_と言う感情と、
何でこの間話した時に
先に言ってくれなかったんだ……
なんで、わざわざ智くんの目の前で
失礼な事を言うんだよ……
…そんな裏切られた気持ちで
悔しさや悲しさ、怒りみたいな
めちゃくちゃな感情が混ざり合い
今にも爆発してしまいそうだった…//
とても今の自分に、
“ 父さんと目を合わす ”なんてことは
出来るはずもなく、
俺の手を優しく握ってくれる
智くんの綺麗な手だけを視界に収め
耐え続けるしかなかった__
[…あなた…この間はそんな事何も…//]
[…お前は黙っていなさい!
……男同士で結婚だと?
子どもも産めないくせに、何が結婚だ
…翔、お前のその性癖、
…女には向けられないのか?
男のカラダにしか反応しないのか?
それなら今では体の関係を持たずとも
子供を産める時代…
お前は建前上、女性と結婚して
大野くんとはカラダだけの関係を
続ければいいじゃないか…]
智くんの綺麗な手を
ただただ見つめてる筈なのに
だんだん視界がぼやけてきて
見えなくなった…
溢れ落ちても…
またぼやけ
もう一度こぼれ落ちても…また…//
何度でも繰り返す
身体の震えが止まらない…
握りしめた拳の震えが止まらない
「…ハァハァッ…なん……だ…よッ//…グシッ
ゲホッ//…何なんだよそれッ//」
[大野くん、
君もよく考えなさい…
君の優しい人柄や努力を惜しまない姿
何よりも誠実なところ。
いつも翔から聞いているよ…
私も昔、君に会った時に、
それは嘘なんかじゃないと感じたよ。
君のことは大好きだ!!
…でも、それはファンとして。
翔の仲間として。何よりも人として。
…だけど君だって大野家の長男だろ?
ご両親の気持ちを考えたことはあるか?
…君は優しすぎる…//
きっと翔から言い包められたんだろう?
だからあえて強く言わせて頂くよ。
私は翔の父親として、
翔と君の結婚は望んでいない。
悪いが男と寝たいなら他でやってくれ…
これ以上、翔を巻き込むな!]
だから…
この人はさっきから何を言ってるんだ
俺だけならいい……
俺だけならまだ良かった
今、俺の隣には……
自分の事を悪く言われているのに
その事に何かを言うわけでもなく、
爪が食い込む程
力強く握った俺の拳を解き…
自分の手を握らせてくれようとしている
こんなにも心が綺麗な人が居るんだ…//
そんな…綺麗な心を、
一瞬で踏み躙るようなこと……
なんで言うんだよッ//
「…ハァハァ…ぐゥッ……ハァ…ゔゔッ…//」
悔しくて
言い返したいのに…//
智くんは
そんな人じゃないって…
否定したいのにッ//
悔しいッ…//
声が出ないッ//
…声が…//
「…翔くんのお父さん、お母さん。
今日はお忙しい中…
僕たちの為に時間を割いて頂き、
ありがとうございました!
お父さんのお気持ち重々承知しました。
…今日のところは…
引き取らせて頂きたく思います…
…どうか……お許しください。」
[……そうか……悪いな…//]
「…さぁ、翔くん?…行こう…」
なんで?
何でこんなにも
あなたは優しくて……
強いんだよ…//
玄関を出て実家を後にする
身体が訛りのように重く
息をするのも苦しい……
「ゔゔ…ゔぅぅ……さどじぐ…グシッ…」
「…大丈夫……大丈夫だよ翔くん…」
智くんの名前を絞り出すのに
やっとな俺を、
智くんは泣くことも取り乱すこともなく
肩と腰を抱いてくれて、
外の世界へ連れ出してくれた…
目の前が真っ暗だ……
つづく
智くんと翔くんに酷いこと…すみません。
書いてる本人が泣いてます……
お話の中とはいえ…お父様にも…
今は辛いですが…
タイトルは二人の記念日
きっと次なる壁も乗り越えてくれるはずです
翔くんと智くんのお山は永遠です♡
La mimosa