むかし、むかし、ある村に若いしゅうがいたと旅に出て稼いでこよやずんずん歩いて行くと、山道にさしかかり、日が暮れてしもうたと。

ずっと向こうの方に、明かりがちかちか見えたと、一軒の家があったと

[道に迷って、困っているすけ、今夜泊めてくらっしゃい。]

[なじょうも、泊まってくらっしゃい]と娘さんが、云って泊めてくれました。

 次の朝家の外を見ると、でっこい蔵が七つも並んでいました。

娘さんが言うには[留守をしてくらっしゃい。蔵の中を見てもよいが、いっちしまいの七の蔵だけは、見ないでくらっしゃい。]と言い残し出かけてしまいました。

若いしゅうは約束をしましたが、[見るな]言われた蔵が気になってしかた有りません。 とうとう我慢が出来なくなって、いっちしまいの蔵を開けたと最初蔵の中が暗くて判りません。

だんだん目が慣れてくると、なんと、なんと蔵の中にはウメの樹にウグイスが止まっていただけだと[こんげなものか。おらに見るなと言ったのか?]若しゅうが知らん顔していると、娘が帰って来ました。

[おまえ、七の蔵見んかったかい?][ああ、おら見んかったで]、すると娘は悲しげな顔になりました。

[蔵見たのし]そういい残して、娘は一羽のウグイスに成って、飛んで行きました。

 そうしたれば、家も蔵もいっぺんに消えてしもうて、若しゅうばかりが山の奥にぼんやりと立っていたとさ。 

 新潟県栃尾市に伝わる昔話です。