昔、今は亡き、とある合気道の先生に「動けなくなる」という技?を掛けてもらったことがある。


詳細は省くが、正座している状態の私が、軽く差し出した手のひらに、その先生が軽く手を置いただけ……と周りには見えたに違いない。

ところが私の感覚の中では。崖っぷちで爪先立ちにされ、自分のバランスを取るには先生の手に触れているしかない……自分から動けば倒れる、という感覚がして、動けない。


解除して開放してもらったあと、何が起きたか解らずに考え込む私に、その先生は「これは頭で考えても解りませんよ?」と笑ってましたっけ。


「見ただけでは推測すらできない、何らかの技術が存在する」ことを、私はこのとき初めて知った。

まあ……思い出してみたら、それ以前にお世話になった開祖の内弟子だった人からも何らかのものは喰らってたのだから、私が鈍感すぎたのかも。


残念ながら、私は、どうしても柔術的な発想から抜けないらしい。

そんな体験をしておきながら、骨格だ筋肉のつき方だのと考えるばかりで、今でもアレがどんな技法だったのか?なんの手掛かりもみつけられない……と、心中密かに気にしていたのだが。


今、お世話になってる大東流のところで、もしかしたらアレの糸口が見つかるかも……と期待するようなことが、ほんの少し起きている。


思い込みに走らないように注意しながら、研究を深めていきたい。