京都嵐山の夜明けは

遠く墨字に染まる比叡山

誰も居ない渡月橋の朝は

静寂そのもの

桂川の轟音が響くなか

比叡山を見て

小倉山を見て

無心に走った早朝の懐かしさ

京都の暑さは..それはそれは

ジリジリと音が聞こえる日中

なんと..鵜飼風景が飛び込む

いにしえの万葉の時に

戻ったように..

紐付けされた『鵜』たちが

飲み込んだ魚を出していた

小倉山の下を流れる保津川では

白鷺が舞い降りて

水面をゆるりと歩いていた

何故か嬉しそうな白鷺の姿に

思わず一首が浮かぶ..

渡月橋の轟音とともに

思い出すのが恩師と友人達だ

学生時代の自由気ままな風景が

水音と共に浮かんでくる

あぁ……懐かしい

あれは..確か真夜中だった

恩師と私達は..

真夜中走ってここに来た

夏のお盆前だった

桂川の水は夏でも冷たかった

あれから..幾年が流れ行き

私達はそれぞれに大人へ..

渡月橋の轟音は..

学生時代の忘れられない

懐かしい思い出を連れて来る

恩師の笑顔は嵐山の空に..

そして..

私達はいつの間にか

懐かしさに溺れている

それぞれの場所で

積年の思いを心に留め

嵐山の風景を

思い出すに違いない

恩師に..友らに

そして……思い出に𝑻𝒉𝒂𝒏𝒌 𝒚𝒐𝒖