漆黒の闇を突き破り


眩い朝は


冷たい大気を道連れに


静かにしずかに大気を変えた


山の稜線を凌駕していた虎は


突然に叫ぶ…


まるで虎がはらばうように


ゆるりと口を明け


眩しい程の太陽を空に


放ち始めた


朝陰染まる水面には


美しい陽光の路が輝き


円を描いて水すましが


何故に忙しく…


正確な円を描いて進みゆく


遠い思い出を


手中に収めるように


憂いの円を舞いながら…


気づけば水面には沢山の


みずすましが踊っていた


空けゆく朝の始まリは


大地で遊ぶ蠢動もまた


うごめく朝を知っていた


取るに足りない索道も


自然の朝に始まリを迎え


無機質の風景に妖花を見るよう


時を染め憂思の色に染めてゆく


あぁ…うつくしい


夏の五月の風を聞き


鳥は鳴き


鶯は鳴き


風はゆるると上枝を揺らす


静寂を揺り動かす風景は


私に囁いてゆく


鳥は鳴き…


花は咲き…


七色九色の色を染め


キャンパスの森は


今日も懸命に生きている


走り出す一歩の道の始まりに


空は春の風に揺れてゆく