音も消し降る雨淋し春の夜
木立うなだれかの人思う
五月雨にこころ奪わる夜やの雨
降る音忍びそっと空みる
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夕方から本格的に降り出した雨は
なぜに柔らかく落ちてくるのだろう
ベランダに出て暫し佇み
竹林に降る雨の静けさは如何ばかりか
涙にしてもまだ足りないほどに
降る雨に怯えながら寂寥の雨の冷たさに
ひとり虚しく空を見つめる…
鳥鳴く竹林は闇に消えこころまでも
暗闇の中に落ちてゆく
風さえも地に落ち悲嘆にくれる
あぁ…
思い出さえも闇の中へ消えてゆく
あなたの声が…
消え入りそうで
ひとり泣き濡れ彷徨いながら
あなたの声を抱きしめる…
しとしと降る雨に濡れながら
戻らぬ声をそっと…
そっと…忍んで泣いてゆこう…。
