風が泣いている


真夜中の風は泣いている


木立は揺れて


騒がしい程に泣いている


どこに吹いてどこに行って


どこを走ってどこで泣くの…


風の君よ…


どうするのだろう


行先ざえも見えないままで…


泣いて走って騒いで泣いて


微睡むように…


そうだ…


紫式部が書いていた


桐壺の…戯言なのか


源氏物語…


露微睡む…だった


風よ…ザワザワとザワザワと


葉裏を叩き泣いてゆく


まるで胸臆を吐き出すように


悲しみに落ち


寂しさに落ち


悲愴の追憶のように


涙を…


君は涙を持っているのだろうか


葉擦れの音のどよめきは…


何を根拠に唸るのか


風よ…吹け吹けもっと吹け


風の音で何かが変わる


こころが…身体が…


思うがままに揺れては泣いて…


揺れゆく旅路の果てに


人が…ものが変わるのか


風の抄


素敵な響の言葉があった


何かが…何かが


君の風吹く音に引かれ


ピアノも踊り


ダンスに揺れて


空も綺麗になってゆく


だから…吹くのだろう


風の抄


今宵もザワザワザワザワ


泣いてゆく


ダークに染まる時来れば


音も飲み込むひと時に


風音落ちて静寂呼び


苦悩のこころの花となり


春に揺れても泣くだろう


あぁ…


思うがままに書いてみた


指で踊った風の抄…。