鏡島 媛 (かがしま たおか)***生きた意味のあるように*** -4ページ目

鏡島 媛 (かがしま たおか)***生きた意味のあるように***

長い人生を振り返ってみると そばにはいつも「書くこと」がありました。書くことで 冷静に自分を見つめ直し 前に進むことができたように思います。
 

 

 

 

 

好きな俳優の一人だった西田敏行さんが亡くなられて

 

 

もう一週間が過ぎた。

 

 

たくさんの共演者の方々が 次々にコメントを発表し

 

 

突然の そして早過ぎる死を悼んでいる。

 

 

本当に まさかのニュースだった。

 

 

すぐに頭に浮かんできたのは 映画「学校」の先生役だった。

 

 

夜間中学の先生と生徒の交流を描いた心温まる物語である。

 

 

1993年 山田洋次監督の構想15年に及ぶ作品で

 

 

その後 養護学校を描いた「学校Ⅱ」

 

 

職業訓練校を題材にした「学校Ⅲ」があるが

 

 

私は 最初の「学校」が一番印象深く 

 

 

大好きな映画を答えろと言われたら 

 

 

「ショーシャンクの空に」と共に「学校」の名前を挙げるだろう。

 

 

久しぶりに観返してみたが 全編にオカリナの 

 

 

優しく 時には物悲しい音色が胸に染み込むようで

 

 

一つ一つの場面が切なく温かく ほんのりとした感動で蘇ってきた。

 

 

苦労人の夜間中学の教師「くろちゃん」こと黒井先生。

 

 

夜間中学での教育に情熱を燃やし 

 

 

卒業生たちが訪ねて来た時に迎えてやりたいとの思いで

 

 

異動の話を拒み続けている。

 

 

生徒は7人。

 

 

 

 

 

 

 

 

イノさん(田中邦衛)

 

 

極貧の幼少期に 妹を事故で亡くし その責任を感じて 家出。

 

 

50代になるまで 文字の読み書きができず 肉体労働を転々としながら 生きてきた。

 

 

読み書きができるようになったら 車の免許を取るのが夢だったが 

 

 

長年の苦労で大病を患い 故郷の山形に戻るが 亡くなってしまう。

 

 

時は 高度成長期の東京。

 

 

重い荷物を積んで 吹き出す汗をぬぐいもせず

 

 

 リヤカーを引くイノさんの姿は 脳裏に焼き付いたまま 今も離れることはない。

 

 

カズ(萩原聖人)

 

 

清掃会社で働き 肉体労働で疲れてはよく居眠りをするが

 

 

憎めないやんちゃなムードメーカー。

 

 

えりこ(中江有里)

 

 

優等生で穏やか。厳しい両親の影響で不登校になるが

 

 

夜間中学に出会って 将来は大学に進学して教師になると決意する。

 

 

オモニ(新屋英子)

 

 

家族で焼肉店を営んでいるが 日本語の読み書きができず 56才で入学。

 

 

クラスの母親的存在。

 

 

みどり(裕木奈江)

 

 

酒浸りの父親のいる家には帰らず シンナーに溺れるが

 

 

黒井先生の温かさによって 心を開いていく。

 

 

くろちゃんの薄くなった髪をとかしながら

 

 

「あたし 美容師になるんだぁ」と呟くシーンは何度観ても 泣けてくる。

 

 

おさむ(神戸浩)

 

 

脳性麻痺の障害を抱え 言葉が不自由な生徒。

 

 

イノさんと仲がいい。

 

 

チャン(翁華栄)

 

 

日中のハーフ。中国で虐げられ 日本に自由を求めてやってくるが

 

 

やや傲慢な性格でなじめず 差別的な扱いを受けながら仕事を探している。

 

 

 

 

さまざまな事情を抱えた生徒たちが 

 

 

自分の意志で「学校に行きたい」「学びたい」と切望してやってくる場所。

 

 

年齢も 育った環境も違う生徒たちが 小さな教室の中で 

 

 

真剣に勉強し 笑い合い 助け合っている。

 

 

その要と言えるのが 西田敏行さん演じる黒井先生。

 

 

強い信念と 飾り気のない温かな人柄で 生徒たちに向き合っている。

 

 

涙もろく 時にはユーモラスなその姿は 西田敏行さんそのままだ。

 

 

当時 46才。

 

 

あれから 30年の月日が経ち まさか突然の旅立ちになろうとは

 

 

当のご本人が一番驚いているのかもしれない。

 

 

誰にも看取られることのない最期だったが

 

 

実に潔く 私もマネできればと願うばかりである。

 

 

肉体は消えても 西田さんの人柄は 永遠に語り継がれ

 

 

その笑顔は 多くの人の心に深く残るだろう。

 

 

そして その作品は 誰かの人生の指針となり

 

 

誰かの心の支えとなり 誰かに安らぎを与えることだろう。

 

 

心からの感謝を込めて。

 

 

合掌。