テレビを点けて録画していたプロジェクトXを観た。
東日本大震災で壊滅的打撃を受けた三陸鉄道の再開発物語「約束の春」。
プロジェクトXは中島みゆきの「地上の星」という主題歌が象徴的な開発物語だが、嘗てとある企業でこのドラマについてコラムを書いて、「プロジェクトXのXはペケである」と書いてクレームを受けたこともある。
何故「ペケ」であるかというと
プロジェクトマネジメント(PM)のソフトウェアを取り扱っていた経験から、プロジェクトをマネジメントするとはどういうことかについて散々研究を重ねていたため、
所謂基礎的要件(PMBOK=Project Manegement Body of Knowledge)が曖昧になされたまま始まったが故に多くの欠陥があり、それを補正した苦労話だと感じたためである。
とはいえ、第一次「プロジェクトX」は昭和の時代の苦労話としてはとても面白かった。
同じようなものとしては内橋克人著「匠の時代」全10巻があるが、内容は同じではないものの、プロジェクトXはその映像版というに近い。
今回のテーマは鉄道だったが、ここ10年ほど鉄道を利用することは少なくなった。
年に10回も乗らない。
自宅から半径20Km以内なら大概徒歩か自転車で済ませている(渋谷駅まで5千歩、新宿駅まで2千歩ほどだし!)。
そもそも鉄道の利用は通勤通学買い物がその大半を占めるのだろう。
殊に自動車の利用が多い地方では大人が鉄道を利用することは多くはない。
反面、自動車で移動するべき距離の学校に通う高校生などは鉄道は絶対に必要。
自宅近郊には昭和の時代からJRをはじめ五島慶太氏による東急・小田急・京王線、堤義明氏による西部鉄道、それ以外にも東武鉄道や京浜急行などの私鉄があるが、
故郷九州には西日本鉄道、佐賀には長崎にまたがる松浦鉄道がある。
都市部の鉄道はフレックスタイムの導入や時差通勤などの工夫がなされていて嘗てほどの満員電車は緩和されたが、地方はもとよりぎゅうぎゅう詰めの満員電車は滅多にない。
都市部の私鉄は沿線開発(住宅と流通)とセットでなされてきたため、急激な減少は考えにくいが、地方のそれは少子化の波によって既に大幅な赤字路線となっている現状から更なる経営問題=企業としての存続とそれを支援する公的機関と企業への重い負担が発生することになる。
中国の鉄道は地方にも高速鉄道を敷いて、それらの路線には一日数本しか走らず、更に乗車率が10%未満という悲惨なところも多いが、現在進行中である東京名古屋間のリニア新幹線もそのコスパにおいては同じようなものとなる可能性が高い。
将来同プロジェクトがテレビでプロジェクトXとして放映される時は・・・破綻の可能性もゼロではない(=建設プロジェクトは遂行されるかもしれないが、大地震による壊滅可能性もある)・・・デジタルネットワーク化が進むことによって人の高速移動必要性も小さくなっているだろうし、果たして?
今回放映されたプロジェクトXでは三陸鉄道の再開は地元の人、特に通学に利用する子供たちにはめでたいことであったかもしれないが、既に毎年5億円以上の赤字を計上しているし、
鉄道がコスパだけで考えてはいけない公共的なものであるにしても、投資の正当性はあまり見当たらない。
問題は一人一人の個人の考え方にもあるし、旧態依然とした政治のありようにもある。
少子化に伴う人口減少と地域格差、それに相反する政治屋員数の拡大と政治資金の肥大化。
現在の豊かな社会と平和を享受しつつ、その維持継続はそう長くは出来そうもない現実に、時代の流れという変化に対応していく必要があるがその具体的テーゼは?