青渭通りペアリーロード稲城商店街36にある創業45年藤田敏夫氏㈲藤田そば店 の老舗蕎麦屋。
ペアリーロードは、稲城市の特産多摩川梨のペアと仲良く買い物して欲しいと言う意味のラブリーを掛け合わせた造語。JR南武線「稲城長沼」駅前から川崎街道と交差した後、青渭通り(あおいどうり)を300m程南進、稲城市立第一中学校 を経て都道19号鶴川街道の曲がり角「稲城福祉センター入口」交差点に至る。同店は第一中学校 の角にある。
青渭とはその途中にある青渭神社の事で創建の年代は不詳だが伝承では弘仁年間(810~824年)の創建との事。かつては「大沼明神」とか「青沼大明神」と呼ばれていたようだ。祭神は青渭神、猿田彦命、天鈿女命の三柱とされています。「青渭神」とは中国黄河支流のひとつ渭水から来ていると思われる。三国志の五丈原の戦いで魏の皇帝の曹叡が援軍として派遣した司馬懿と蜀の諸葛亮が戦った場所、234年8月ここで病死した諸葛亮が布陣したのが渭水南岸五丈原です。
旧名の「沼」の字からもわかる様に多摩川の氾濫原。農耕に祈願する水神との説が濃厚です。他に調布市深大寺・青梅市沢井に二社あって論争となっているそうです。まもなく時期となる毎年10月第一日曜に行われる例大祭で稲城市指定文化財青渭獅子舞と呼ばれる獅子舞が奉納されます。
この商店街は今でも途中に田畑があったりとタイムスリップしたようなのどかな道ですがかつては近くには現在移転した市役所もあったところで現在も58店舗が軒を連ねる稲城市では最大の商店街です。
一方通行の為あまり交通量のないそのようなローカルな場所にありますが店主藤田敏夫氏は東京都麺類協同組合 理事であったり蕎麦の研究では有名な御仁。
竹細工職人のお父上を持つ藤田敏夫氏は百村に120年の三代目。中学卒業後、叔母上の伝で撮影所のエキストラや手伝い等の仕事をされておられましたがお父上に連れ戻され6代目藪そば三河屋で3年間修行後18才で三河屋の同僚職人を伴って独立当店を開業。23才で麺業青年会の要職に就いたとの事。
大月エコの里 ではミャンマーで品種改良されたそば「ロンタン種」 を栽培。日本政府外務省のプロジェクトでケシのかわりに生計を立てられるようにと日本からソバの種「キタワセ」が渡りました。藤田敏夫氏は信州大学の氏原暉男教授を団長としたメンバーとなりコーカン地区(すり鉢状の傾斜地)でそばの栽培方法を指導。 そのミャンマーで育ったその種「ロンタン種」として里帰りしたもの。
NHK でそば打ち講師やその他各地のカルチャースクール等で石ウスで挽く究極のそば粉の作り方、鉢と延べ棒と包丁の使い方、二八そば、そば粉100%の生粉打ちそばの打ち方など本格的なそば作りを教えています。
2000年9月刊行双葉社 そば打ちの本編集室著「街で出会った自家製粉手打ちそばの店 」には同店が自家製粉手打ちそばの店主が、そば粉の繊細さとそばの妙味を語る全国30店のひとつとして紹介されています。
また、短時間製麺であるにもかかわらず、十分な麺組織を形成をすることができる自動製麺機の特許
を1992年7月3日出願(特願平4-176934)、1994年2月2日公開(特開平6-22674)されている。
余談ですが以前の撮影所での仕事の関係でフジテレビ池波正太郎原作「鬼平犯科帳 」金太郎そば屋役で出演しているそうです。
第1シリーズ主演二代目中村吉右衛門第22話「金太郎そば」 では“木更津の旦那”(実は盗賊)と呼ばれる男から貰った三十両で蕎麦屋を始めた見事な金太郎の彫物のお竹(池波志乃)の話だが解説では「当時、江戸前の蕎麦の実は主に三多摩のあたりで取れた。特に早刈りの深大寺そばは粉に青みが残って爽やかな風味が食通に好まれたという。蕎麦の種類は今よりも多かった。柚子切り、ごま切り、らん切り、茶そば、五色そば。しかし、もっとも大事なのは今も昔も出汁の味だ。江戸前のつゆの味は口当たりがよく、やや辛めである。」と江戸の蕎麦と蕎麦屋について詳しく語られている
敷地内には通常我々が訪れる鉄筋3階建て店舗は両脇に駐車場を配し庭園の見える小上がり6名座卓4卓と土間の4席テーブルが5卓の44席。
庭園側、橋を渡ったところに木造の30帖60名程度の床の間付き和室宴会場花子茶屋別棟がある。その建物の一角に「国内産蕎麦粉研究所」と書かれたガラスドアがある。水は敷地内にある200mの深井戸から組み上げて玄そばの管理から石臼挽きの自家製粉、自家打ちを行なっていて1,000円/1Kgでこだわりそば粉も店頭販売しているようです。
店名の花子とは玄そばの真っ白い中心部分を花粉(はなこ)と呼ぶそうで太郎花子にかけて花子茶屋と名付けたそうです。
[2011.09]
何度か青渭通りを通過した際に寄ろうとしたのですが、あいにく当店の定休日木曜日だったようで逆はあるのですがなかなかこの一方通行路を川崎街道側から仕事場のオナーズヒル稲城向陽台 のある尾根幹、鶴川街道側へ抜ける機会は少なくそのままになっておりました。
9月のある日曜日、オナーズヒル稲城向陽台 の向陽台一丁目交差点からJR南武線「稲城長沼」駅へ抜ける近道で第一中学校へ廻る裏道で直接行けるのだとふと思い付き伺ってみる事に。この道だとおよそ910mと割りと近いです。また更に団地内を抜ける近道があって京王線「稲城」駅へ徒歩10分より近い9分(700m)でも着けます。
先客はガードマン8名の団体のみでしたが後ほど家族連れが2組来て椅子席の土間が満卓、更に家族連れが来て座敷席に上がって行きました。
蕎麦粉100%生粉打ちの十割そば900円や前評の盛りが多いと言うもり500円に強く関心を寄せたのですが、飯ものを食いたくて週替りセット980円でお願いしました。
今週は「すき焼き丼」。赤い木椀のすき焼き丼は牛丼ではなく肉片はやや細かいですがタマネギ、焼き豆腐や糸こんにゃく等まんま飯の上にすき焼きを載せた丼。甘辛だれが少々じゃばじゃばのつゆだく。飯量は普通でした。
付きますミニそばはうどんでも良いし、冷温選べますがやはり冷たいのにしました。量はかなり少ないです。中細の田舎風、うっすら灰緑色に殻混じりの低速で挽きぐるみした事が良くわかる蕎麦です。パンでも石臼等で低速挽きするとこのようになります。逆に高速の機械挽きしますと粉も真っ白ですので蕎麦も白く仕上がります。
少々乾燥した様な蕎麦がそういった粉で打ったからか?茹で立てでないからなのかは蕎麦に造詣が深くないのでわかりませんでしたがこの仕上げならもっと更に太い田舎蕎麦の方が好みです。
麺つゆは鰹出汁が強くて醤油と削り節そのものが香るつゆでした。最近旨い蕎麦屋では主流の鯖節、トビウオ節が強い方が個人的には好きですのでちょっと残念。家庭の麺つゆは殆どが鰹出汁で、麺は小麦粉の含有率が少なく蕎麦粉の多い少数の蕎麦を選んで選んでもどうもあの旨い蕎麦屋のつゆになりませんが、ごく僅か結構高いのですが鯖節、トビウオ節をベースとしたつゆが市販されております。
江戸そば付け汁の原点を目指しておられるそうなのでそうなのでしょうが、蕎麦に関してはどうも好みが違うようです。勿論、極細繊細でつるっとした蕎麦を噛まずに飲んで啜るタイプが粋だと言う事に全く関心の無いさんさん丸なので一般的な蕎麦好きの感想ではありません。さんさん丸の蕎麦の原点は山形村山の十割極太田舎蕎麦ですからご注意下さい。
ただ、週替りセットは蕎麦はおまけのような存在なのでオナーズヒル稲城向陽台 からは近いですのでこの後機会があれば十割そばや二八のもりを試してみたいです。
[メニュー]
200円・御飯・炊き込み御飯
500円・もり・かけ・ミニ天丼・おでん
580円・ざる
650円・きつね・たぬき・玉子とじ
700円・冷やしたぬき・山菜・肉南蛮・カレー南蛮
750円・力揚げもち・力焼きもち
780円・おろし山菜
800円・?
900円・十割そば
950円・天ぷら・鴨南蛮
980円・冷やし天とろろ・週替りセット(週替り重,ミニそばorうどん・冷/温)
1,000円・天ざる・鴨せいろ・天丼
1,200円・おすすめセット(ざるそば,天婦羅,炊き込み御飯)・上天丼・天ぷら盛り合わせ・うなぎ蒲焼
1,500円・十割そば天婦羅付き
1,600円・うな重
花子茶屋 藤田
(そば(蕎麦)
/ 稲城駅
、稲城長沼駅
)
夜総合点★★★☆☆ 3.0 昼総合点★★★☆☆ 3.0
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★★★☆☆3.0
稲城市百村15
042-377-6223
11:00~15:00/17:00~20:00木休