ひとえに風の前の塵に同じ

投資ジャーナル・中江滋樹 消息不明8年の真相 (ゲンダイネット)
「埋められた」「海外に逃げている」――。こんな噂が飛び交った末、世間からも兜町からも忘れられていた男が、意外な“事件”で再び現れた。85年に巨額詐欺で逮捕された「投資ジャーナル」元会長・中江滋樹(52)だ。ひさびさにマスコミに登場と思ったら、自宅に火を付けようして放火未遂で逮捕されたというからオドロキだ。


 政治家や芸能人との人脈を築き上げ、アイドル歌手との愛人関係も報じられた「兜町の風雲児」は、3年前から近江八幡市(滋賀県)の実家で生活。近所では奇行を繰り返す“札付き”の迷惑オヤジとして有名だったという。


 逮捕の直前、不審火の被害に遭った寝具店の店主(53)がこう言う。


「中江とは小学校も一緒で顔見知りですが、2年前の7月ごろ、犬の散歩中に路上ですれ違った際、飼い犬同士がケンカするトラブルが起きたんです。それから嫌がらせが始まり、3カ月後には私の妻を傘で叩いてきた。このころから普通じゃなかったです。それで中江は同居していた母親(昨年2月死亡)の勧めもあり、その年の12月に精神科に入院。1カ月で退院したのですが、その後も奇行は止まらず、複数の住民が犬のフンを投げられたり、いきなり殴られたりしたようです」


 現在は妻子に逃げられ、ひとり暮らし。働きもせず、ボサボサ頭に無精ヒゲで「オウムの麻原彰晃にソックリだった」(近隣住民)という。いつも薄汚いTシャツに短パン、サンダルの姿で、朝と晩に犬の散歩をしていた。「1、2年前に愛人との間に生まれた20代の息子と歩いていた」という目撃情報もある。


 自宅には今もベンツなど高級外車2台があるが、なぜこんなに変わってしまったのか。


「中江は92年に仮出所し再び投資の世界に戻っていましたが、一般投資家からカネを集められなくなり、暴力団系の闇金融から資金を調達していました。しかし98年に資金繰りが悪化。闇金融に担保として預けていた株を言葉巧みに持ち出し、行方をくらましたのです」(中江に詳しいジャーナリストの森功氏)


 中江の母親は亡くなる前年、近所の住民に「息子は去年までカナダに逃亡していた。ヤクザに追い込みをかけられ、様子がおかしくなっていた」と話していたという。


 投資家を食い物にしてきた面影はすっかり消えていたようだ。


【2006年9月25日掲載記事】