天門の試練 35 | シンイ二次小説でんべのブログ

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大統領襲撃事件からひとつきが立ち
季節も夏から秋口へと変わり
つつある。

大統領を守るべくヨンは身を呈して
その銃弾に立ち向かいその背に
銃弾を受けたが、高麗で内功を身に付け
たお陰で意識的に貫通した弾を
回避できたが、取り出す事は
ヨンの力では限界があり手術をし
取り出すのに成功したのである。
術後の回復はめざましいものがあり
ひとつきも立たない位には
普通の生活ができるまでに回復し
今日無事に退院にこぎ着けたので
あった。


執刀医はめざましい回復に
驚きを隠せないでいた。
そして支払いを済ませ
いざ病室を出ようとすると
執刀医がヨンを呼び止める。


「チェさん?少しお時間を頂け
ませんでしょうか、チェさんの
回復ぶりにはめざましいものがあり
是非、これからの医術に役立てればと
・・・。ですので、少し、ほんの僅かで
構わないので、細胞組織を摂取させては
貰えないかとお願いにあがりました」


「・・・医術に役に立つのであれば
とはおもいますが、こればかりは
理解しがたい現象かと思いますので
申し訳ないのですが
お断りさせて頂けませんか?
では、妻と両親が待っておりますので
これで失礼致します。大変
お世話になりました」


ヨンは執刀医に一礼すると病室を
後にする。
ウンスはと言うと両親と共に
田舎生活に向けた準備に追われて
いたのだ。

美容整形医院をたたみ故郷に
新たに開業するべく
扮装していたが、ヨンが病院の玄関を
出た所でウンスと出くわす。

「忙しいのに、迎えに来なくても
良いと言ったはずだぞ」


「何言ってるの?
旦那様が退院する日にお嫁さんが
お迎えしなくてどうするのよ。
うふふ、お疲れ様でした。
退院おめでとう。
準備も後少しで終わるから
今日はホテルを取ってあるから
そこに泊まりましょう。
美味しいものをたくさん食べて
活力を復活させないとね」


「これしきの事、俺には蚊に刺された
だけと思っている。
心配掛けてすまなかったな、
これからはゆっくりできるぞ。
義父と義母の元で畑を耕し
たまにはウンスの美容の手伝いをし
釣りに行き、晩飯のおかずを
調達しと思えば心がわくわくして
いるようだ」


高麗から時空を越えやってきたヨンは
いつなんどきも、支える人の命を
守る為、身を呈して仕事をしてきたのだ
野に下り漁師になりたいとの願いも
聞き入れられず、極刑に処される寸前
ウンスが天門を操り目の前に現れ
助けだしてくれた経緯がある。
このような幼子のように瞳を輝かせ
話すヨンをウンスは見たことが
ないかも知れない。

これからは二人でゆっくり人生を
歩んで行こうとウンスは改めて
思うのであった。

楽な人生ではないかも知れないが
この二人ならどんな高い壁が
現れようと乗り越えて行くに違いない。

互いに笑みを浮かべながら
街を歩き、片手にボストンバックを
下げ、ウンスのおしゃべりに
頷き、ウンスの笑顔に癒されヨンは
満足気に空を見上げていた。

雲ひとつもない快晴、暑さも
一段落し、この方とご両親を全力で
守って行くと改めて心に誓う
ヨンであった。


・・・・・


一方高麗ではヨンの過保護と
チェ尚宮の過保護がしのぎを削って
いた。朝出仕する折りは
愛馬に股がるのを止め
ウンスの為に輿を用意し
担ぎてを他人に任せる訳には
いかないとウダルチから殿居明けや
休みの者を呼び寄せ担がせる
という策に出ていた。
むろん給金を払うがそれも割高で
あった。

四人が担ぎウンスが乗り込むと
愛馬チュホンに股がりゆっくりと
並走する姿は市井では静かな
ブームとなっていた。
拝む者やひれ伏す者まで現れる
始末である。
百戦錬磨の武将チェ・ヨンと
奥方は天女と言われるユ・ウンス
ご尊顔を拝むと無病息災、家内安全と
言われる始末なのだ。

どんな病も天女の手に掛かれば
たちどころに完治し
天寿を全うでき、ヨンは国を安泰
導く、神とまで言われていたのだ。


「わぁ~、大護軍?今日は
一段と民が総出で見送りしてますよ
流石、天女様ですよね」


「黙らぬか。トクマン、落としてみろ
お前の命はそこで途絶える事に
なるぞ」


「おぉ~怖い、皆!しっかり担げよ
小石や落ちてる枝を踏むなよ、医仙様は
ご懐妊されているんだから
落としたら大変な事になるからな。
分かっているな!意識を集中しろよ」


「お前が一番危ないんだぞ」


チョモに指摘をされトクマンは
「あん?」と振り返ると
道端に落ちている小枝を踏み
倒れそうになり輿がわすがに傾き
かける。すると尽かさず民が
大勢押し寄せ輿を持ち上げる。


「わっ!・・・皆さんありがとう
ございます。
お陰まさで落ちなくてすみましたが
お怪我は何方様もしてないですよね?」


「わしらは大丈夫さ、天女様が
お怪我でもなされたら誰が治すんです?
あんちゃん!気をつけてくれよ!」


「あ、すみません・・・以後気をつけます
から、輿を通してください。
お役目に遅れてしまいますから」


「トクマン!後で俺の執務室まで
来い!!
逃げても無駄だぞ」


「・・・」


「旦那様?こうして皆様に助けられ
無事なんですから、あまりしごいては
駄目ですよ、うふふっ。
皆さん~ありがとうございました
朝夕肌寒くなってきましたから
風邪をひかないようにうがいをお忘れ
なく、そして笑顔でお過ごしください」


ウンスは輿の上から頭を下げ笑顔を
振り撒いていた。

輿は四人が担ぎながら市井を抜け
王宮の大門が見えてくると
今度はチェ尚宮が待ち構えていた。

ウンスは嬉しい悲鳴をあげ
叔母に手を振っていたが
チェ尚宮は担ぎ手を交代しろと
ヨンに向かい小言を連ねる。


「ウダルチが担ぎ手では体面が
丸潰れであろう。
王宮内は武閣氏が引き受けるゆえ
はよう、おろさぬか」


「お、叔母様、妊娠は病ではないので
運動の為に歩かないといけませんから
お気遣いなく、ヨンにお願いしても
このように過保護なんで叔母様まで
過保護にならないで下さい
ですから歩きます」


「転びでもしたら如何する。
願いは屋敷で大人しくこやつの帰りを
待っていて欲しいのだが
嫌なのであろう?ならば万全の体制を
整えてしかるべきと私はおもうが」


「万全の体制ならば俺がやるべき事
叔母上は手を引いて頂きたい」


過保護な二人があーだこーだと
言い合いをしてる中
ウンスは呆れ果て輿を降ろして
もらいすたすたと典医寺へ向け
歩きだしたのである。


これからどうなるのか
少々うんざり気味のウンスであった。

・・・・・

皆様こんにちは。

またひとつきも空いてしまいました
ごめんなさい。

まだまだ暑くヘロヘロ😵🌀です。
皆様は如何がお過ごしで
いらっしゃいますか?


さて話は変わりますが
今年もやります、シンイで年越し
イベント!お題は

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どうでしょうか?
ふるってご参加お待ちして
おります。