天門の試練  32 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「二人の気持ちはどうなのだ?
父さんも母さんもウンスの悲しむ顔を
見るのが辛いんだが?」


「俺も離れ離れはつらく寂しく
感じておりますが
お役目、いえ、仕事なのだと
己に言い聞かせ日々を過ごして
おりましたが・・・ウンスが
寂しく感じているように
テレビ電話ではその温もりを
肌で感じる事も出来ず
ため息が先に出ます」


「お父さん、お母さんが共に
暮らしたとしてもその寂しさを
穴埋めするのは難しいはずだ。
どうだろう?いっその事
ウンスも美容整形外科を閉めて
ヨン君も今のしごとを辞め
田舎で一緒に暮らさないか?
畑仕事もあるし、なんなら
田舎で開業しても良いんじゃ
ないか?」


「お父さん?代わったちょうだい。
お父さんの意見に私も賛成だわ
いずれは赤ちゃんも授かる事だろうから
そばにいれば何かと心強いはずよ。
まぁ、二人で良く話し合って、
無理強いはしたくないし、二人の
気持ちが肝心だと思うから
いつ帰れるのかしら?」


テレビ電話が鳴り
いきなり父親が出たのには
面食らったヨンではあったが
ありがたい申し出を受け
真剣に考えるべきだと
ウンスもヨンも思ったのである。


「ヨン?身体は大丈夫?
怪我なんてしてない?
ちゃんと寝てちゃんと食べてる?
今度帰ってきたらちゃんとお話
しよう?アボジもオモニも
心配してくれてるしね」


「あぁ、そうしよう。
俺は大丈夫だ。ウンスの方こそ
大丈夫なのか?泣いてばかり
いるのではないか?」


「大丈夫よ。うふふっ
過保護なんだから、じゃぁね。
あっ?帰還は何時かしら?」


「定かではないが
何も起こらねば10日後と
思ってくれ。じゃぁまた連絡をする」

テレビ電話でひらひらと手を振るウンス
心配掛けまいととびっきりの笑顔で
ある。その様子を母親は
切なく、苦しく思い眺めていた。
電話が切れたのち
大統領のSPの行動は機密事項だから
他言できないと以前に教えてもらった
事を両親に説明していた。


「それはそうよね、SPの人の行動が
明るみになれば近くに大統領が
いるとばれてしまうものね。
仕方がないわよ・・・ウンスや
やせ我慢は身体によくないわ
泣きたい時は思い切り泣きなさい
私達が受け止めてあげるからね」


「ありがと・・・」


ウンスは両親の存在がどれだけ
助かっているかを改めて噛みしめ
ながら、ベッドに潜り込み
その気配が消えてから
シクシクと静かに涙を流していた。

良く朝の事、ヨンは早速行動を
おこしていた。


「大統領、某、チェ・ヨンは
八月末日を持ちまして退職の旨を
お伝えしたくまかりこした
次第にございますれば
お許しの程お願い申し上げます」


「突然どうしたのだ?
君は今までにない優秀なSPと
私は思っているんだが
歳も若い。これから代々の大統領の
SPを勤めてくれるとばかり思って
いたのだが・・・」


「すみませぬ。
某のお仕えする大統領はコン大統領
お一人と決めそばにおりましたゆえ
ですが、某の一番はいつの時代も
あの方のみ。それにつきます」

ヨンはSPの仕事に付く時
コン大統領に全てを話していたのだ。
俄に信じがたいと始めは
疑っていた大統領ではあったが
高麗王であった恭愍王の末裔である
ため、代々続く古文書には
しっかりとヨンの事が記されていた。
目を見張る真実とその忠義深い人柄
などが、事細かくあった。
疑う事はなかったと言えば嘘に
なるが、ヨンの忠義には
心打たれる事が多々あったコン大統領、
次第に、まさしく大将軍となる器と
思うようになったのである。


「ヨン君がそう言うなら
仕方がない。あの時代から現代へと
脚を踏み入れたからには
人生を謳歌するといいと思うぞ
愛する人のそばに居るもよし。
義理ではあるが両親のそばで
孫を抱かせてやるもよし。
だかな、たまには顔を見せてくれ?
それが条件だ」


「はっ!次にお目にかかる折は
妻や・・・赤子とともに
参りとう存じ上げます。
あとひとつき程では
ございますが、必ずや御守り
致します」


その日は午前中は支持者回りと
午後はテレビ討論会で他の政党の党首と
論議を重ねる予定であったが
事件はテレビで生配信されてしまうとは
予想値にしなかったのであった。



・・・・・

皆様こんにちは。

お話の中に出てくる大統領は
架空の大統領です。
お話と言うことでひろ~い
心でお読み下されば幸いです。


どんな事件かしら?
次回わかりますヨン!
お付き合い下さいませね。