「な、何をするんです?
それにこの方々はどちら様?」
ウォルはウンスを庇いながらも
気丈に振る舞う。
すでに日付が変わり手を貸してくれた
客の回りには数名のごろつきが
ニヤニヤしながらウンスとウォルを
取り囲んでいた。
「な~に、食いはしないさ。
お姉さん方がすごいきれいだから
俺たちと遊んでいかない」
「ば、馬鹿な事言わないでくれる?
先生は人妻だし、私は彼がいるわ。
だから貴方がたと遊ぶつもりは
ないから退いて頂けます?」
「人妻なのか?
それは面白いな、で、あんたは
彼氏持ちか、クックッ。
楽しもうや。それにこんな路地には
誰もたすけに来ないさ」
眠らない街と思われた明洞にも
こんな死角があったなんてと
思っても後の祭りであった。
ビルとビルの間に人が住める
スペースがあったのだ。
これは、ホームレスがテントを張り
ねぐらにする一角だろうと
ウォルは考えた。
「人が居るはず」と。
声を大にウォルは叫ぶ。
「たすけて~~!!、誰かたすけて~~」
暗闇で辺りは真っ暗であり
見えるのはテントばかりだ。
「うぅ~~ん・・・なんだか
うるさいんですけど眠れないじゃぁない」
「あ、先生起きましたか?」
「へっ?どちら様?
えっと、私は飲んでいたのよね?
えっと、ウォルさんとここはどこ?」
「先生!!ユ先生!
逃げますよ!早く立ってください!」
寝ぼけ眼で辺りを見回すウンス
ウォルが懸命にウンスに手を貸し
ともに逃げる事を促していた。
「あ、ここは」とウンスは
もやもやとする頭でも理解できた
ようである。
「貴方達だれ!」
「ほぅ~~目が覚めたのかい?
よく見れば美人じゃないか
威勢も俺好み、こんな美人二人を
逃がすはずがないだろう。アハハ」
「ウォルさん行くわよ~~
走れ~~」
『お願い、ヨンの所まで』
ウンスは手を翳し
天門を開いた。
長らく封印していた力を
解き放ったのだ。
自身の身勝手が招いた惨事は
自身で決着をつける。
その意思は良いのだが
轟々と渦巻く天門へとウンスは
ウォルの手を掴み飛び込んだので
ある。
・・・・・
ウンスは典医寺で医員のお役目に
邁進し、ヨンは大護軍としての
お役目とウダルチの鍛練を欠かさず
見守っていた。そんな折
突然ウダルチ兵舎中庭が騒がしく
なった。
「な、なんなんだ!
風が舞い砂埃が舞っているぞ」
誰かが叫ぶ。
「・・・天門が開いたのだな。
チュンソク!引き込まれぬよう
皆を遠ざけよ」
ヨンはそう叫ぶと鬼剣をがしゃりと
鳴らすが。
女人二人と見慣れぬおのこには
さすがにヨンも驚いた様子であった。
「ウンス殿?如何された?」
「ヨン??ちが~~う!
ここは高麗ですよね?
私のヨンの元へ行きたかったの?
この方はウォルで・・・・」
ウンスは懸命に説明する
自分のヨンが不在時にお酒に
呑まれこの男らに絡まれて
しまった事などを伝える。
「・・・まったく・・・
チュンソク!あの方を呼んで
くれぬか?すぐに」
「はっ!」
ヨンはごろつきの前へと
歩を進めた。
「な、なんだよ!おまえ!それ刀か?
違法だぞ、通報してやるからな!」
ごろつきの一人はスマホを取り出す、
が、繋がるはずもなくスマホを上に
したり下にしたりと電波を探して
いた。
時代劇か何かの撮影なのだと
誰もが思うに違いないが。
「せ、先生?ここはどこなんです?
あのトンネルはなんなんですか?」
「えっ?話すと長くなるわよ。
いいの?えっと・・・・・・・」
ウンスはあらまし説明していたが
ウォルは信じられない顔をしている。
・・・・・
皆様こんにちは。
あらら~~ウンスがヨン違いで
高麗へ行ったよ。
どうなる?