天門の試練  17 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています

17

「ご挨拶が遅れてしまい
申し訳ありませぬ・・ありません。
某、娘さんと婚儀を・・結婚を
前提にお付き合いさせて頂いて
おります、チェ・ヨンと申します」


ウンスの実家に挨拶に来たのは
戦の助太刀をしてから
一週間が過ぎた春の嵐が
吹き荒れる頃だった。


あいにく雨、風が強い日だったが
クリニックの休館日じゃなければ
都合が付かず仕方なかったのだ。

ウンスの両親は定年を迎え
夫婦揃って無農薬野菜を
生計とし、暮らしている。
今日の空模様で畑仕事は中止であり
挨拶日和である。


「緊張しているんだから・・・
ヨンはね、私の仕事のサポートを
してくれてるの。とっても優秀な
右腕なんだから、うふふ」


「そうだったんだな。チェさん?
私達は娘が選んだ人は間違いは
ないと信じていますよ。
チェさんの田舎はどちらになるのかな
私達も挨拶に行かせて貰うよ」


「・・・あ、あのですね・・・
両親は既に他界し、親戚筋も
おりませぬ。実家は江南にありましたが
既に引き払いまして
今は他人が住んでおる故・・・」


「ごめんなさい、チェさん?
ちょっと待ってちょうだい
話を遮ってごめんなさいね。
さっきから変な言葉使いなんだけど
どうしてかしら?それに
ご両親の他界は分からないでもない
んだけど、親戚筋が一人も居ないって
どう考えてもおかしな話じゃ
ないかしら、アボジはどう思うの?」


「叔父さんや叔母さんくらいは
居ても当然とは思って聴いては
いたぞ」


「そうですよね?
なんだか訳ありの人みたいだけど
大事な娘を嫁がせるのよ
訳があるなら話して貰わなきゃ
結婚は認められないわよ」


ウンスのご両親の問いは
至極同然の疑問であり
ヨンもウンスも返す言葉が
見つからず黙り込んでしまっていた。
食卓に向かい合わせで腰掛け
長い沈黙が続いたのちヨンは
顔を上げウンスを見つめる。


行きの車の中で想定はしていた
もしも不思議に思われ疑われる
ならすべて真実を話すと。


「父上様、母上様
これから話す事はすべて真実です。
ご理解頂けるかは分かりませぬが
某は高麗時代に生存しておりました
上護軍チェ・ヨンであります
某は朝鮮王朝が建立される折り
斬首と言う処刑に処される間際
ウンス殿に助けて頂けこちらに
参りましてございます。
ウンス殿との馴れ初めは
・・・・・・・・・・・・・」


ヨンは真実を口にする。
今度はウンスの両親が暫く
黙り込んでしまった。
そんな馬鹿な話がある訳ないと
思うのも無理はないのだ。
天門とはなんだ?実はすでに
七十を回った年ではあるが
どこからどう見ても
二十代半ばでありシワひとつない
端正な顔立ちであり
つるんとしている。我が娘も既に
五十は回っていると。


「・・・アボジ?
頭痛がしてきました。
頭の整理が追い付いていかないんです
もの、ウンス?貴女は今幾つに
なるの?」


「私もヨンも同じ年二十六になるわ。
でもヨンが言った事が
すべて真実よ、不振を抱くのも
あたり前に分かるし、無理もないと
思うけど、私もヨンもお互いが
居なければ生きていけないの
だからね、認めて欲しい。
アボジが尊敬してやまない
チェ・ヨン将軍よ、絶対
嘘なんかつかないわ」


「へっ?艦船にもその名が刻まれる
将軍だと言うのか?ちょっとまてよ
我が家に古文書があるはずだから」


ウンスの父は本棚から
丁寧にしまってあった風呂敷
包みを大事そうに抱えて
持ってきた。それを一枚一枚丁寧に
めくるとチェ・ヨン将軍の軌跡が
載ったページが出てくる。


「将軍は朝鮮王朝初期の頃
初代朝鮮王である李成桂から
斬首の命が下り、遺言を残して
いたが、その場に竜巻のような
大きな穴が開き吸い込まれて
行ったと記載されているが
これが天門と言う事なのか?
そしてチェ家の家訓も
記載してあるな、えっと」


「チェ家の家訓は
黄金も石ころに思う人間となれ。
そして言い残した言葉が
自身に少しでも私心があれば
墓に草が生えるだろが、
そうでなければ草は生えぬ。
でございます。
某は、身分や私欲など
興味はまったくなく
この方と生涯添い遂げると心に
決め、何十年とお戻りを待って
おりました。ようやく願いが
叶い、天門をともにくぐりましたら
今の年となったのでございます。
そして・・・・・・・」

 

ヨンはウンスが時をさ迷う人となり
時代が違うもう一組の我々が
高麗に生存し、戦につい最近
助太刀に行った事、ウンスが今でも
天門を自由に操れる事
すべて真実を伝えた。


「アボジ、オモニ、ヨンは嘘は
言わないし、色んな能力を
身につけた人も居ても不思議じゃ
ないし、天門はそう言う所よ。
時代が違う二人が高麗には
いるけど・・・それもまた運命と
思うようにしてるの、天門が
私達に化した試練なのよ。
この試練を乗り越えないと
私達は消えてしまう気がするの
ピンチをチャンスに変えて
二人で生きて行ければ高麗の二人も
生涯添い遂げていけるはずよ
私達があの時代にいる
二人の盾になってあげないと
古文書もっと読んでみたら
分かるわ、戦ばっかりで
電気もない、電話もないし
本当に何にもない時代だから・・・」


「二人の気持ちは分かったが
心が、頭がついていってないんだ
親の気持ちも分かってくれないか?
そしてもう一組が高麗時代に
いるとなれば尚更なんだ。
天門が与えた試練なんだろう?
今、私達の目の前にいる二人が
幸せに暮らし、子供ができても
歴史が、お前達に罰を与える事は
ないと信じていいのか?
消えてしまう事はないのか?」


「今を精一杯生きて行けば
ないと信じているの、
そう信じなきゃ不安が
心を潰してしまうから
強い心を持ちたいし
アボジ、オモニにも認めて
貰わないと結婚は出来ないわ」


「ウンスゃ、分かったわ。
アボジ?認めてあげませんか?
だって、チェ・ヨン将軍が
娘婿になるのよ、そこにも
書いてあるじゃない
清廉潔白で生きた偉大な偉人よ
これからウンスを守り生きて
くれますよ。
たまには顔を見せに田舎まで
足を運んで頂戴ね」


「オモニ、ありがとう」


優しく微笑む母親に
ウンスは涙ぐむ。


「そうだな。
色々考えるのはやめよう。
当たって砕けりゃ、いやいや
砕けちゃいけないな。
壁がたちはだかりゃ、みんなで
その壁をぶち壊して
前へ進んで行けばいいんだ。
ひとつ約束してくれないか
問題が起こったら、必ず
私達に相談する事。
隠し事や、嘘は駄目だぞ、約束
出きるか?」


「はっ!武士の約束は命がけ
違える事はありませぬ。
生涯ウンスを守り添い遂げる
所存にてご安堵召されます
ようお願い申し上げます。
・・・あっ?」


「もう~ヨンったら
武士じゃないから今は現代よ
うふふっ」


椅子から降り、片膝をつき
まるで王様に挨拶するような姿に
ウンスも両親も苦笑いを
浮かべていた。


「今日は泊まっていきなさい」と
両親に促され二人は泊まる事に
なった。久しぶりに母親の味を
堪能するべく、ウンスと母親は
近くのスーパーに
買い出しに出て行き直に戻ってきた。
ヨンと父親や酒を酌み交わし
色んな話をする、高麗時代の話から
現代に来て不都合はないのか?
やら、色んな話を夜がふけるまで
話しは尽きないでいた。
そして食卓に出された母親の味に
ウンスとヨンは舌鼓を打つ。

キムチ、キンパ、ナムル等々
ウンスでは出せない母親の味に
二人は感極まり涙する場面も
あったが、ヨンの涙は
あまりの辛さに悶絶する涙だった
かも知れない。


・・・・・

皆様こんにちは。


天界の二人が両親にやっと
挨拶に行けました。
そして認めて貰う事ができました。
万才!!良かったねウンス
親孝行するのよ。

古文書?歴史書?チェヨン将軍の最期は

事実とは違いますが、お話と

言う事でひろ~~い心でお読み下さい

ましたら幸いです。


さて高麗の二人はどうしてるかな?
仕置き?いや婚儀の後ですよね笑

あっ、今日は4月4日

ヨンヨンの日だ~~びっくり

予約投稿して分かりましたラブ